NPB復帰のチャンスは「戦力外の翌年だけ」 経験者が語る“独立Lから再起”の難しさ

戦力外経験者が語る“独立リーグからのNPB再起”の難しさ
戦力外経験者が語る“独立リーグからのNPB再起”の難しさ

2021年は元広島の小窪、2020年は元阪神の歳内らが“返り咲き”

 戦力外になった選手たちは、様々な決断をして新たなステージに向かう。現役を引退した選手も少なくない一方で、独立リーグから再起を目指すケースも。ただ、返り咲きを果たせるのはほんの一握り。待ち受ける厳しい現実を、経験者たちは語る。

 NPB復帰を見据え、選手たちが選ぶ環境のひとつが独立リーグ。2021年には、広島を退団して九州アジアリーグ・火の国サラマンダーズでプレーしていた小窪哲也氏がシーズン途中にロッテに加入。この年限りで現役を引退したが、数か月の“復帰”を果たした。さらに、2020年に四国アイランドリーグplus・香川オリーブガイナーズに加入した元阪神の歳内宏明投手も、その年のシーズン終盤にヤクルト入り。2021年まで所属した。

 過去に“成功例”があるのは確か。ただ、自らのコンディションやアピールだけで結果につながらない事情もある。「獲得しようとするチームの状況が悪くないと、欲しいとはなりませんからね。怪我人が多いとか、コマが足りないとか。自分の状態がめちゃくちゃ良くても、怪我人が出なかったら呼ばれないですよね」。昨季限りで現役を引退した元ヤクルトの村中恭兵氏は、経験を踏まえて語る。

 自身は2019年にヤクルトを戦力外になった後、沖縄初のプロ野球球団・琉球ブルーオーシャンズに加入。しかし直後に新型コロナウイルスの感染が拡大し、そもそも沖縄までNPB球団のスカウトが足を運ぶことがなかった。2021年はルートインBCリーグ・栃木ゴールデンブレーブスで“最後の1年”にかけたが、声が掛かることはなかった。

 栃木では毎年のように元NPB選手が加入し、再起を後押ししている。直近では元阪神、ロッテの西岡剛内野手や中日でシーズン10勝を挙げた実績もある若松駿太投手らが所属したが、最高峰の舞台に舞い戻ることはできなかった。村中氏が語るように、“需要と供給”がピタリと一致しない限りは難しい現実が待っている。

 トライアウトを2度受けた若松は「本当にチャンスがあるとすれば、戦力外になった翌年だけだと思います。NPBから離れた時間が長いほど、難しくなるのは間違いないです」と言う。ただ、独立リーグでプレーしていくうちに、新たな生き方を見つけるケースも少なくない。若松は昨季からBCリーグ・福島レッドホープスで兼任コーチに。昨季にBCリーグ・埼玉武蔵ヒートベアーズに加入した由規投手も、今季からコーチを兼任する。

 どんなに可能性が低くても、再び華やかな舞台でのプレーを目指して挑戦をやめない選手たち。“アフター戦力外”の動向にも注目だ。

(Full-Count編集部)

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