鷹ナインに王会長から“秘伝の書”「野球の真理」 全体ミーティングで熱弁12分間

全体ミーティングで熱弁を振るうソフトバンク・王貞治球団会長兼特別チームアドバイザー【写真:球団提供】
全体ミーティングで熱弁を振るうソフトバンク・王貞治球団会長兼特別チームアドバイザー【写真:球団提供】

キャンプインを前にした全体ミーティングで選手に熱く語った王会長

 ソフトバンクは31日、2月1日のキャンプインに向けて宮崎入りした。到着後は宿舎で全体ミーティングが行われ、王貞治球団会長兼特別チームアドバイザーも壇上に。12分間に渡る熱弁を振るっただけでなく、選手には王会長の経験や考えを記した“秘伝書”を配布した。

 昨年は8年ぶりBクラスに沈んだソフトバンク。巻き返しを図る今年、王会長は現場との距離を密接にするために「特別チームアドバイザー」の肩書きがついた。リーグ優勝、日本一を奪い返すシーズンに向けて「去年あれだけ悔しい思いして、勝ってた時は感じないけど、勝つっていいことだな、負けるって惨めなものだと感じたと思う。厳しいことを言うようだけど、我々の世界は結果が全て。言いたいのは結果の出し方も研究してほしい。今年は絶対リーグ優勝して、日本一になろうよ」と大号令を出した。

 王会長の口調は次第に熱を帯びた。選手に説いたのは自分で考え、自分で決断することの重要性。「自分の身を助けるのは自分しかいないんだ。コーチは教えてくれるけど、打たせてくれるのではない。いいピッチングをするのも、いいバッティングをするのも自分なんだから。そこにデータを生かす、決断するんだ。『これだ!』ってヤマを張ったっていいんだよ。他の球が来たら、三振して知らんぷりして帰ってこればいいんだよ。プロってそれくらいの決断が必要なんだ」と語りかける。

 話は投手陣にも及んだ。「ピッチャーもそう。満塁でツースリーになったら、ど真ん中に放るしかないじゃないか。打たれたらいけないとか考えたら、自分の力は出ない。それで負けたからってピッチャーのせいじゃない。勝敗の責任は監督にあるんだから。選手は自分の力を出してくれればいい」。選手たちがすべきは、己の力を信じ、発揮するのみ。勝敗に関しての責任は監督はじめ首脳陣にあると強調した。

 また、選手たちには王会長による“直伝書”が配られた。首脳陣や各選手の部屋に置かれているようで、世界の本塁打王である王会長が自ら「『眠れない時に読め 必ず寝られるから』と書いてある。それくらい読んで楽しいもんでもないと思うけど、絶対タメになると思うよ。俺が60年野球やってきた中でやっぱりと書いてきたものだから。あと100年経っても、野球がある以上は真理だと思う。それくらい自信がある」とまで言うほどのもの。中身は見た人にしか知る術はないが、王会長の経験、考え、信念などが詰まったこの上ない“教材”と言えるだろう。

「せっかくこの世界に入ってきたんだから、ひと花咲かせないと。コーチが上手くしてくれるんじゃない。自分で上手くなって結果を作るんだよ。全部、自分、自分だよ。自分の意志でこうやるんだという思いを持ってやるんだ」と、選手たちに熱く語りかけた王会長。王座奪還に向けた大事な鍛錬の時。王会長の教えを携えて、ソフトバンクナインが厳しい1か月をスタートさせる。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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