新庄監督「スターになれる選手」 快足・五十幡に“百獣の王”を引き合わせたワケ

武井壮さん(手前)の指導を受ける日本ハム・五十幡亮汰【写真:球団提供】
武井壮さん(手前)の指導を受ける日本ハム・五十幡亮汰【写真:球団提供】

さらにスピードアップ? 「一番速いのは五十幡と言ってもらえる走りを」

 日本ハムの1軍キャンプに2日、タレントで陸上十種競技の元日本王者、百獣の王こと武井壮さんが臨時コーチとして招かれた。1軍全選手を対象にした講義と実演を2度にわたってこなした後、指揮官は2年目の五十幡亮汰外野手と武井さんのマンツーマンレッスンを設定。“特別扱い”には、チームが目指す野球の象徴を育て上げたいとの狙いがありそうだ。

 雨中の練習が終わろうとする頃、新庄監督はグラウンドから姿を消した。隣接する屋内練習場に武井さんと五十幡を呼んでの居残り練習は、最初から計画されていたものだった。武井さんは「キャンプに来る前からビッグボスにお願いされていました。『五十幡は今後、スターになれる選手だから。何とか壮くん、頼むよ』と」。武井さんも指揮官の期待に応えるため、予習として五十幡が走る動画までしっかりチェックしての講座だった。

 五十幡は中大から入団した昨季、1軍で27試合に出場し9盗塁。中学時代には「サニブラウンに勝った男」として知られる快足を発揮し始めたとたん、6月に肉離れで戦線離脱した。新庄監督が武井さんに依頼したのは、怪我なく、より速く走るためのメソッド注入だった。

 武井さんは「彼の弱点は骨盤の向き。前に倒してカーブ(を回る)という意識が強すぎた。足が上がらないところで上げようとして、(筋肉が)切れちゃう」と五十幡の課題を見抜いていた。骨盤の位置がわずか1、2センチ変わるだけで、怪我のリスクは大きく下げられるという。

 新庄監督と武井さんは、元々面識があったわけではない。指揮官が現役復帰を目指してトレーニングしていた2020年に「インスタライブを一緒にやりましょう」というメッセージが武井さんのインスタグラムに突然届いた。昨秋の監督就任発表前には「お願いがあるので待っていて」とのメッセージも。多数の臨時コーチ招聘が見込まれるこのキャンプで、最初に武井さんを呼んだのには理由がある。

 この日、武井さんが体の使い方をレクチャーすると、各選手の20メートル走のタイムが0.1秒程度向上したという。武井さんは「0.1秒は1メートルなんです。1メートル先まで進めていれば、ギリギリアウトになっていたゴロが内野安打になる可能性が生まれる」と、この数字の決して小さくない意味を説明した。これこそ、新庄監督が狙う攻撃的な走塁のベースになる。その象徴として、五十幡の開花がどうしても必要なのだ。

 足を武器にしてきた五十幡にとっても、武井さんのレッスンは「新しいことを聞けた」と新たな発見が多数あったようだ。そして「野球界で一番速いのは五十幡だと言ってもらえる走りができれば。活躍している姿で武井さんにも喜んでほしい」。西川、大田の移籍で外野のポジションは空いている。その1席を占める素質も覚悟も十分だ。

(羽鳥慶太 / Keita Hatori)

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