狙いは「ピッチャーゴロ」で“チーム1号” 新庄監督が送った破天荒アドバイスとは?

ウイニングボールを受け取った日本ハム・新庄剛志監督【写真:荒川祐史】
ウイニングボールを受け取った日本ハム・新庄剛志監督【写真:荒川祐史】

「追い込まれたら『ペッパー』に切り替えていけ」で意識が変化

 ペッパーとは練習法の1つで、投げる選手と打つ選手が1対1で向き合って行う。10メートルもないくらいの距離で、ボールを正確に投げ手へ打ち返す。このアドバイスを、フルスイングからの強打が魅力の佐藤はこう受け取った。

「一番打つのが簡単なピッチャーゴロも打てないなら、ヒットも打てないということかなと。そこからちょっと弾道を上げたら、センターに抜けますし。力いっぱいでなくても、本塁打は打てるし飛距離も出る。明確な目標、方向を持っての打撃が必要だと分かりました」

 昨季、日本ハムのチーム本塁打はリーグ最下位。唯一の2桁、78本という惨状だった。得点力アップのために新庄監督は走塁を重視する姿勢を見せ、意識変革を促しているが、長打が不要なわけではない。打力を最大化するための助言も、しっかり送っていた。

 佐藤は遊撃以外の内野3ポジションを守ることができる。この試合では外野が本職の万波が三塁を守るなど、固定観念を廃した新庄采配のもとではライバルが増え続けている。スタメン落ちにも「僕が出るなら三塁、二塁の守備固めか、下位打線の代打と考えて準備しました。どこで来るかわからないから、気持ちだけはオフにしないように」と出番を待ち、一発で結果を出した。チームに足りないものを持ち合わせた道産子スラッガーに、開花の春は訪れるか。

○佐藤龍世(さとう・りゅうせい)1997年1月15日、北海道・厚岸町出身の25歳。北海高では甲子園出場なし、進んだ富士大から2019年、西武にドラフト7位で入団した。昨年8月に公文、平沼とのトレードで日本ハムへ移籍した。身長174センチ、体重90キロ。右投げ右打ち、背番号49。北京五輪に出場しているスピードスケートの佐藤綾乃(女子1500メートル4位)はいとこ。

(羽鳥慶太 / Keita Hatori)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY