なぜ2軍でも0勝の19歳に前田健太は惚れ込んだ? 中日首脳陣も驚いた急成長の転機

中日・高橋宏斗【写真:小西亮】
中日・高橋宏斗【写真:小西亮】

昨秋のフェニックスLで“兆し”…さらにオフへて「見違えるようになった」

 好転するきっかけが訪れたのは昨秋。みやざきフェニックス・リーグでの先発予定が雨で流れた日、屋内のブルペンで1試合分の球数を投げ込んだ時だった。「その時の球は、ものすごかったです。『頼むからその感覚を忘れるなよ』って言いましたからね」と小笠原孝2軍投手コーチは振り返る。体が横振りになって球に体重が乗らない悪いフォームから、打者方向に体の力を無駄なく乗せられる“本来の姿”に改善されつつあった。

 フェニックス・リーグでは11イニング連続無失点も記録。兆しを見出し、オフをへてキャンプへ。「さらに見違えるようになっていましたね。しっかりオフに取り組んできたことがよく分かりました」と小笠原コーチ。1年目に苦しんだ逸材は急成長を遂げ、2年目をスタートさせた。

 紅白戦の翌日には、前田が自身のツイッターで「YouTubeで紅白戦をちょっと見ただけですが中日の背番号19のピッチャー良くないですか? 吉見さん引退されてるので新しい選手かな?」と注目。メジャー右腕からの熱視線は高橋宏にも届いたようで「すごく嬉しかったですし、注目していただけることはプラスだと思う」と力に変える。インスタグラムのメッセージ機能で、大先輩とやりとりしたことも明かした。

 19日は3~4イニングを予定。結果は二の次で、落合ヘッドも「ブルペンで投げているボールが投げられるかに尽きる。まだ勢いだけしかないので、みんなの見る目が変わるくらいになってきたら(面白い)と思います」と言う。チームとしては、いかに大きく、頼もしく育てていけるか。未来のエースの、覚醒の1年が始まった。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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