「古い考えは取り除く」ムダに長い練習、偉いコーチ…中日が見直す“悪き関係性”

中日・立浪和義監督【写真:小西亮】
中日・立浪和義監督【写真:小西亮】

立浪和義監督がご褒美オフ「昔の古い考えは取り除いて、臨機応変に」

 立浪和義監督が就任した“新生”中日に、早くも変革の兆しが見え始めている。伝統的に春季キャンプは「練習が長い。きつい」とのイメージを持たれてきたが、メリハリ型に転換。天候が悪かった18日には、中だるみを避けるために1軍の野手と主力投手に“ご褒美休養日”を与えた。自身はゴリゴリのスポ根世代を生きてきた指揮官は、時代にあった効率性も追求する。

 前日17日に「雨が降ったら休み」と予告されてから一夜。朝から雨模様の沖縄・北谷町のAgreスタジアム北谷には、若手投手と首脳陣の姿しかなかった。15日からのキャンプ第4クールは6勤の予定だったが、3勤・2勤と分割されることに。翌19日のDeNAとの練習試合に登板する投手らを中心に、比較的短時間の練習で終えた。

「休んだらまた頑張ってもらえればそれでいい。成果を上げるために、この休みを(いい方向に)つなげてもらいたい」と立浪監督は意図を語る。上達の手助けをする一方で、選手が故障しないように気を配るのも首脳陣の仕事。ただ長く練習すれば上手くなるわけではない。「昔の古い考えは取り除いて、臨機応変にやっていきたい」と変化を促す。

 指揮官を支える落合英二ヘッド兼投手コーチも、新たな風を吹かせようとしている。選手との関係性について「堅苦しいというか『コーチが上なんだ、偉いんだ』という目線で選手は見るので、それをなくしたい」と言う。悪き上下関係を取っ払い「ともに一緒に戦っていくというか、勉強していくというか。自分たちも勉強していかないと、昔のやり方のままでは通用しない」と肝に銘じる。

 ただ、選手とコーチの境界線が曖昧になるわけではない。もちろん、締めるところは締める。キャンプ初日、立浪監督は「ヘラヘラ笑いながらやっている選手は外すよ」と言い放った。練習も、関係性も、メリハリ。チームの関係者は「選手も首脳陣もお互いにリスペクトを持ちつつ、厳しさもある。雰囲気はいいと思います」と話す。

 もちろん、古いやり方が全て悪いというわけではない。良き伝統は継承しつつ、新しい考えを取り入れていく。チーム内で“令和版ドラゴンズ”の風土を醸成し、グラウンドでの結果につなげる。立浪監督が最もこだわる「勝利」を掴む戦う集団へと変えていけるか――。開幕に向けて実戦が本格化する中で、チームづくりの手腕も問われてくる。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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