キャンプに続々登場「ダミーくん」って何者? 強豪校も使用…製作者が込めたこだわり
ヤクルトには“特別仕様”を納入
今春のキャンプ前、吉村社長はヤクルト・伊藤智仁投手コーチから“バージョンアップ”の相談を受けた。それは胸元、膝元に黄色い線で示しているストライクゾーンを「横に棒が出ていると投手からはもっとゾーンが分かりやすいからどうにかなりませんか」というものだった。
「大変でしたね。重い素材だと棒が垂れてしまいストライクゾーンが地面に対して平行にならない。固い素材だとボールが直撃した時に捕手側に軌道が変わる危険性がある。色々な素材を試しました」と話す吉村社長が行きついたのが、釣り竿などで使われるカーボン素材のグラスファイバーの棒だった。フックで取り外し式にすることで水平な形状も保たれた。無事に「ダミー君特別バージョン」もキャンプインを果たすと、伊藤コーチをはじめヤクルトナインから「使い勝手がいい」との反応があり、吉村社長も胸をなでおろした。
学童野球をターゲットにして始まったが、現在では大阪桐蔭高など強豪校がこぞって使用する。さらにプロ野球の世界でも自主トレで使用する選手が増え、キャンプでも楽天やソフトバンクのブルペンに立っている。12年間、売上数は右肩上がりで、同社の看板商品で居続け、ジワジワと浸透してきた。
名前のごとく、打者のニセモノとして生まれた「ダミーくん」。野球を始めたばかりの少年少女からプロまで、幅広い層から必要とされる唯一無二の存在となった。