前半と後半ではまるで「別人」 14年連続50試合登板…ハム宮西が復活を遂げたワケ

宮西尚生、2021年前半戦と後半戦の成績【画像:(C)PLM】
宮西尚生、2021年前半戦と後半戦の成績【画像:(C)PLM】

昨季は前半不調も後半復活、結果球ではスライダーの割合が増えた

 本塁打を除くフィールド内に飛んだ打球がヒットになる確率を示す指標「BABIP」に興味深い傾向が表れている。投手の平均値は.300とされる中で、宮西の昨季前半戦のBABIPは.391と、極端に悪い数字となっていた。BABIPはキャリアを通じて.300前後の数字に収束する傾向にあり、宮西の場合も昨季後半戦のBABIPは.259と良化しており、この変化が成績にも影響していたと考えられる。それでも、通年のBABIPは.331と平均値を大きく上回る数字であり、2021年は総じて運に恵まれなかったといえる。

宮西尚生、2021年前半戦の結果球割合【画像:(C)PLM】
宮西尚生、2021年前半戦の結果球割合【画像:(C)PLM】

 結果球の割合は、昨年7月13日以前は速球が56.1%、スライダーが40.8%、シンカーが3.1%だった。一方、8月以降は速球が45.6%、スライダーが50%、シンカーが3.3%、フォークが1.1%に。スライダーの割合が増加し、結果球のちょうど半数を占めた。前半戦では使っていなかったフォークを新たに投げ始めており、球種の選択にも幅が広がっている。

宮西尚生、2021年後半戦の結果球割合【画像:(C)PLM】
宮西尚生、2021年後半戦の結果球割合【画像:(C)PLM】

 コース別の結果球割合についても比較を行っていきたい。2021年の宮西は対左打率.192に対して、対右打率.310だった。前半戦では左打者の内角に行くボールが多く、その中でも高めと真ん中が10%を超えていた。左右両サイドの出し入れで勝負する傾向にある中で、やや高く浮き、特に右打者にとっては外角高めから真ん中と、狙い打ちしやすい球が多かったと考えられる。

宮西尚生、2021年前半戦のコース別結果球割合【画像:(C)PLM】
宮西尚生、2021年前半戦のコース別結果球割合【画像:(C)PLM】

 後半戦は高めに浮く球の割合が大きく減少し、両サイドの低めに行くケースが増加。特に左打者にとっては、外角の真ん中から低めに決まる球が増えたことになる。宮西は、シーズンによって対左打率と対右打率が大きく変動する傾向にあり、今季とは逆に対右打率が低く、対左打率がやや高いシーズンが、過去14年間で7度ある。

宮西尚生、2021年後半戦のコース別結果球割合【画像:(C)PLM】
宮西尚生、2021年後半戦のコース別結果球割合【画像:(C)PLM】

 今回取り上げた各種データからは、現状に満足せず常に課題を修正している姿が見て取れる。宮西が2022年も50試合以上に登板できれば、いよいよNPBの歴代最長タイ記録となる。前人未到の活躍を続ける鉄腕の、新シーズンでの活躍にも期待したい。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY