「変なタイミングで代打だと…」1軍出場翌日に戦力外 泣き崩れた“絶望”からの再生

昨季まで中日でプレーした武田健吾【写真:荒川祐史】
昨季まで中日でプレーした武田健吾【写真:荒川祐史】

元中日・武田健吾、現役続行“白紙状態”からの再出発

 前中日の武田健吾外野手が、今季から社会人野球・三菱重工Eastの一員として再出発する。昨季は開幕から1軍でプレーし続けながら、突然の戦力外通告に直面。一時は現役を続けるかさえも白紙の状態だったが、家族や周囲の支えもあってユニホームを着続ける決断をした。

 全くと言っていいほど“予兆”はなかった。2021年10月6日、バンテリンドームでの広島戦。武田はベンチで出番に備えていた。試合終盤に守備固めや代走で出場する機会が多く、この日も8回に声がかかった。ただ、役目は代打。しかも先頭打者で、同じ外野手の渡辺勝との交代だった。

「ちょっと変なタイミングで代打だな、と」

 チームはBクラスに低迷していた時期で、5日後には秋季教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」が始まるタイミング。「ここで打たなかったら宮崎かなぁ」との予測もよぎった。2ストライク1ボールからのチェンジアップに空振り三振。9回はそのまま右翼に守備につき、試合は3-7で敗れた。

 帰宅後に待っていたのは、宮崎行きではなく戦力外だった。球団側から「明日、球団事務所に行ってくれ」と伝えられ、体が煮えるように熱くなったのを覚えている。その場で泣き崩れ、思考が止まる。しばらく外出する気にもならず、そばに愛妻がいてくれることだけが救いだった。

スケールの大きい外野手として期待されるも…打撃が課題に

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