日本ハムOP戦首位快走は“春の珍事”ではない 専門家が「Aクラスある」と断言する理由

日本ハム・新庄剛志監督【写真:荒川祐史】
日本ハム・新庄剛志監督【写真:荒川祐史】

ビッグボス采配で躍動する若手、野口寿浩氏「新庄監督は非常に高いことを要求している」

 新庄剛志監督が率いる日本ハムの勢いが止まらない。6日の巨人戦(札幌ドーム)では4-1で快勝して4連勝。対戦成績4勝1敗1分でDeNAと並んでオープン戦首位をキープした。昨季途中から主力選手が抜けるなど選手層は厚くない中、これは“早春の珍事”なのか。少し早いが、野球評論家の野口寿浩氏に解説してもらった。

 ビッグボス采配が冴え渡っている。6日の試合では“ガラポン抽選器”で清宮に代わってスタメン出場した郡が初回先頭で左翼線二塁打。2点先制の足がかりを作った。投げては中継ぎエース・宮西が初回を3人で片付けると、5投手の継投リレー。反撃を大城のソロのみに抑えた。まさに破竹の勢い。捕手としてNPB通算21年間プレーした野口は、ビッグボス野球をどう見ているのか。

「手を替え品を替え、やっている印象です。毎試合、選手の刺激に間違いなくなっていると思います。これをシーズン通して1年間やったら、どうなるのか。全くもって分かりません。新庄監督の野球は。優勝は分からないですけど、Aクラスの可能性はあるし、逆に最下位の可能性もある」

 前日5日は1番から4番まで新人を並べた先発オーダーで完封勝ち。3日のヤクルト戦では9回2死二塁、“あと1球”の場面で代打を送った。ビッグボスはセオリーにはない采配を次々と繰り出している。「新庄監督は非常に高いことを要求している。(選手としては)油断はできません。ベテラン選手がいようがいまいが、この采配をやっていたと思います。仮に中田選手のような経験豊富な選手がいても」。野口氏が指摘するように、このピリッとした空気が選手の進化をもたらすのかもしれない。

 開幕まで3週間を切ったとはいえ、他球団の主力選手は調整段階だ。捕手だった野口氏は「例えば巨人の坂本選手や丸選手のように何年もレギュラーをやっている選手にとって、3月上旬は一番打たない時期です。開幕に合わせているから。今、調子を上げてしまうと、開幕前には落ちてしまう」と指摘する。ただ、若手選手が多く揃う日本ハムに当てはまらないからこそ、結果が出ているという側面もある。

「若手選手は調整とか言ってられません。日本ハムにはアピールが必要な選手しかいない。今のチームでアピールの必要がない選手は近藤選手だけではないでしょうか。若手選手はとにかくアピールを続けていくしかありません」と野口氏も言う。開幕後も猛アピールを続けることで若手が急成長、そしてチームも躍進を続ける。ビッグボス野球で間違いなく目の離せないチームとなりそうだ。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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