鷹・藤本監督流「攻める野球」のカギ握る6番打者 浮上する松田&中村晃の併用策
選択肢を増やした松田の“意識改革”と一塁挑戦
指揮官は当初、「中村晃が6番に入るのが理想」と語っていた。左右に打ち分けられる高い打撃技術で走者を還す。あるいは持ち前の選球眼や粘りで四球をもぎ取りチャンスメークする。両方を兼ね備えた32歳の中村晃が6番に座れば、打線がより繋がるという思惑だ。
そこに、“ライバル”として現れたのが38歳の松田だ。今季の松田は「1本のホームランより3本のヒット」をモットーとし、ヒット数や打点によりこだわりを見せている。オープン戦でも右方向への強い打球が増え、16日時点で打率.280(25打数7安打)をマーク。本職の三塁だけではなく一塁にも挑戦し、ここまで無難にこなしている。
中村晃の打撃の調子が上がらない中で、松田の意識改革と一塁挑戦によって6番打者の選択肢が増えたというわけだ。もちろん、藤本監督が言うように中村晃も徐々に調子を上げてきている。ここまでのオープン戦の打率は.240(25打数6安打)。13日のヤクルト戦で2安打2打点、15日の阪神戦でもセンター前にクリーンヒットを放った。
世代交代がテーマとされる今季のソフトバンクにあって、キーとなる6番候補に実績ある中村晃や松田の名前しか挙がらないのは問題でもある。本来であれば“藤本チルドレン”ともいえる上林誠知やリチャードが競い合う打順なのかもしれない。いずれにせよ、今季のスローガン「もっと!もっと!もっと!」を具現化するであろう存在の6番打者こそ、打線のキーマンとなりそうだ。
(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)