「極端に何かを変えてみないと」悩める清宮幸太郎に“足りないもの”をOBが指摘

日本ハム一筋で引退後は2軍監督などを歴任した田中幸雄氏【写真:荒川祐史】
日本ハム一筋で引退後は2軍監督などを歴任した田中幸雄氏【写真:荒川祐史】

清宮幸太郎は「ふにゃふにゃ」から変われるか?

 一方、田中氏が気にしているのが5年目を迎えた清宮幸太郎内野手だ。昨季は入団以来初めて1軍昇格がなかった。2軍では19本塁打する一方で、打率は.199。113個の三振も喫した。高校通算111本塁打の大砲という期待に、応えられずにいる。

「ここまでの4年間、正直成長が見られなかった。去年は2軍のレベルでも打率が2割なかったわけです。自分の中でも色々考えているでしょうが、極端に何かを変えてみないといけない時期かもしれません」

 昨秋、新庄監督にも指摘されたことで清宮はダイエットを始め、約9キロの減量を果たして自主トレ、キャンプと過ごしてきた。ただ、体重を落とすのはスタート地点に過ぎない。ここでも身につけなければいけないのは「スピード」だという。

「守って、走ってという選手ではないから、とにかく打つ方で結果を出すしかない。見ていても体が『ふにゃふにゃ』に見えるんですよね。体を絞って、ウエートトレーニングをして筋量を増やして、体幹を強くしてスピードを上げないといけない。体幹がしっかりしていないから、ボールになる変化球にもバットを止められなかった。スイングする力も、逆に止める力もなかった。何のために痩せたのか、続いて何をすればいいのかを理解しないといけません」

 清宮は打法改造にも取り組んでいる。キャンプでも特殊な練習用のバットを用いたりして、手首を返さずに打つ練習を繰り返していた。年明け、柳田悠岐外野手(ソフトバンク)の自主トレに参加し、ヒントを得たようだ。

「結果さえ出せばいいんですよ。『不思議なことをしているな』ってみんな思うでしょうけどね。柳田がああいう打ち方をできるのは、インパクトの瞬間の並外れた強さがあるからだと思いますけど、清宮もやるならそこまで行ければいいんです」

 日本ハムは今春のキャンプに、アテネ五輪のハンマー投げ金メダリストでもあるスポーツ庁の室伏広治長官を臨時コーチに招き、一瞬の「爆発力」を選手に伝授してもらった。田中氏の指摘する「スピード」と共通する部分だ。万波と清宮だけでなく、選手の進化に注目のシーズンが始まる。

(羽鳥慶太 / Keita Hatori)

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