新庄ハムがハマった“落とし穴” 先発加藤が「良すぎて」逸した継投のタイミング
テンポとキレで抑える投手が、打者のリズムに巻き込まれると…
突然崩れた理由を武田コーチは「完ぺきだったものが1本打たれたことによって、ガタガタと崩れてしまった」と分析している。自身が歩んできた道だからだ。加藤とは同じ左腕。テンポとボールのキレで勝負する姿は「昔の僕に似ているよね」と言うほどだ。だから、焦って自分のリズムで投げられなくなった時に何が起こるのかも、手に取るようにわかる。球威がない分、ひとたび打者のリズムで捉えられるともう、抑えが効かないのだ。
指揮官はソフトバンクとの開幕カードを「遊びます」と宣言し、リリーフ起用を続けてきた北山を開幕投手に指名、3戦でのべ17人の投手をマウンドに送り出した。一方でここからが本番としていたこの西武戦では、昨季12勝の上沢に29日の初戦を任せ、8回126球を投げさせた。そして昨季6勝ながら、規定投球回数に達した加藤もまた、できれば試合を任せ、イニングを重ねてほしい投手だった。
武田コーチは「2アウトからの7連打。本人もショックでしょうけど、そこを乗り越えて欲しい。同じことを2度繰り返してはいけない」と加藤を思いやり、対話を通じて再起へのレールを敷くつもりでいる。31日の試合では、昨季終盤に好投を見せた立野が先発。さらに今後、開幕戦でリリーフした伊藤も先発ローテーション入りする見込みだ。戦力不足が否めない日本ハムで、数少ない“長所”が豊富な先発候補。加藤にも、大炎上を糧にした復活が待たれる。
(羽鳥慶太 / Keita Hatori)