開幕ダッシュに失敗しても優勝は可能か 昨季のパ上位2チームはどうだった?
オリックスは6月に16勝4敗の進撃、以降も負け越した月がなかった
3月は苦戦を強いられた両球団だが、その後の戦いぶりはどうだったのだろうか。オリックスは3月に続いて4月、5月と3か月連続で負け越し、5月終了時点で借金4を背負った。しかし、6月に16勝4敗3分の快進撃。7月以降の4か月は5勝5敗1分、7勝4敗2分、11勝11敗3分、10勝6敗2分けと全て勝率5割以上で、最終的には15の貯金をつくって優勝を飾った。5月までと6月以降では、まるで別のチームに生まれ変わったような変化は、若手の多いチームがシーズンを通して成長を続けていったことの証だろう。
開幕5連敗スタートのロッテは4月1日と2日に2試合連続で16得点を挙げて連勝。勢いに乗ったチームは4月を14勝8敗4分、5月も10勝8敗3分と勝ち越した。6月は7勝11敗4分だったが、7月以降は6勝2敗1分、9勝4敗2分、12勝9敗3分と3か月連続で3つ以上の貯金を生み出し、シーズン最終盤まで熾烈な優勝争いを繰り広げた。最終的には2位に終わったものの、開幕5連敗から始まったことを思えば、見事なV字回復を見せ、良いシーズンを送った好例といえよう。
チームだけではなく、開幕カードからの切り替えに成功し、好成績を残した選手もいる。益田は開幕2戦目から2試合続けてサヨナラ打を喫したが、4月の月間防御率は2.38、5月は同0.90、6月は同1.00と大きく復調。最終的には自己最多の38セーブを挙げ、自身2度目の最多セーブのタイトルにも輝いた。
オリックス山本は、4月は4試合に登板して防御率1.41。6月以降は全ての月で月間防御率が1点台以下、そのうち4か月が0点台という圧倒的な投球を続け、その間喫した黒星もゼロ。最多勝、最高勝率、最優秀防御率、最多奪三振と、先発投手の主要タイトルを総なめにした。
今回取り上げたオリックスとロッテはいずれも開幕ダッシュに成功したとは言い難かったが、優勝争いを繰り広げた。こうした例を見るだけでも、開幕直後に不振に陥ったからといって諦める必要はないことがわかる。開幕直後から好調を維持し、そのまま勢いに乗るに越したことはないが、チーム状態が良いまま長いシーズンを戦い抜くことができる例は、非常に稀であることは確かだ。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)