「前の打席がしょぼかったので」 息詰まる投手戦の均衡破る決勝打生んだ“後悔”

辻監督「もうひとつ割り切りがなく、ちょっと中途半端になったね」

 辻発彦監督は「3ボールから“打ちなさい”という所で、ベンチの私と目が合ったのだけれど、気持ちが整理できていない気がした。もうひとつ割り切りがなく、ちょっと中途半端になったね」と振り返る。あと1球で四球だと思うと、3-0から打って出るのは勇気がいる。ただ、最も甘い球が来る可能性が高いカウントでもある。

 ベンチから「打て」のサインを送り、選手の背中を押すケースがあるが、狙い球を絞りきれないまま手を出してしまっては本末転倒。そういう意味で、非常に悔いの残る打席になったわけだ。

「それがあったからこそ、次の打席では割り切って、見事なタイムリーを打ってくれた」と辻監督は相好を崩した。呉自身は「高山打撃コーチからも打席に入る前に、思い切りいけと言ってもらいました」とうなずいた。

 呉は昨季、前半の活躍で初のオールスター出場を果たした。今季も山川の故障や、栗山と中村が打率1割台と低迷している事情から、ファーストやサードでスタメン出場の機会が増えている。だが、不動のレギュラーにはもう一歩。それだけにベンチとのやりとりが、結果を大きく左右することがある。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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