オリックス吉田正尚はどこが凄いのか “3年連続首位打者”目指す男の打撃を解析

オリックス・吉田正尚【写真:荒川祐史】
オリックス・吉田正尚【写真:荒川祐史】

抜群の選球眼、三振数は少なく四球数が多い

 オリックス吉田正尚外野手は2020年、21年に首位打者を獲得。2年連続の載冠は02、03年の日本ハム・小笠原道大氏(現巨人2軍打撃コーチ)以来の快挙だった。2リーグ制になった1950年以降で3年連続首位打者を手にしたのは6人。94年から00年まで7年連続でタイトルを得たオリックスOBのイチロー氏に続くことができるか。今回は経歴や「セイバーメトリクスで用いられる各種の指標」「コース別打率」「球種別打率」の観点から打撃を分析する。

 吉田正は青学大から2015年ドラフト1位でオリックス入団。1年目から非凡な打撃センスを発揮していたが、2年間は腰の故障に悩まされ、出場試合数は63、64試合にとどまっていた。17年オフに腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けたことで故障を克服。18年から3年連続で全試合出場するなど、高い能力をフルに発揮している。19年に.322で打率2位になると、20年に.350で初の首位打者を獲得。21年は怪我の影響で連続フル出場は途切れたものの、自己最高のOPS.992を記録するなど打撃内容はさらに進化。打率.339で2年連続首位打者に輝き、チームのリーグ優勝にも大きく貢献した。

 特徴の一つとしてよく挙げられるのが三振数の少なさ。三振を打席数で割って求める「三振率」は20年が.059、21年が.057。およそ20打席に1度しか三振していない。四球も多く選んでいる。出塁率は2017年から5年連続で4割超。昨年までの通算四球率は.127、打率と出塁率の差を示す「IsoD」も.090と、四球の多さを示す指標は優秀な水準に達している。また、18年から3年連続で2桁の故意四球を記録していたが、21年は杉本裕太郎外野手が吉田正の後を打つ4番打者としてブレーク。故意四球の数は20年の17個から6個に減少したが、それでも優秀な四球率を維持している選球眼はまさに本物といえるだろう。

 選球眼を示す指標の一つである「BB/K」(四球÷三振)は20年が2.483、21年が2.231。この指標は1.00を超えれば優秀で、1.50を上回れば驚異的とされる。吉田正の数値がいかに突出しているかが分かる。また、通算打率.326に対して、通算の得点圏打率が.323とほぼ同水準。特に21年は得点圏打率.400と抜群の数字を残した。

9つのストライクゾーンと低めのボールゾーン全てで打率.250以上をマーク

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