日本ハムにチーム本塁打「倍増」の異変 昨季はリーグ最少、今後は“効率”課題

日本ハム・今川優馬【写真:荒川祐史】
日本ハム・今川優馬【写真:荒川祐史】

アルカンタラと今川優馬が6本塁打、リーグ2位タイ

 昨季、パ・リーグで唯一の2桁となる78本塁打に終わった日本ハム打線の“パワーアップ”が顕著だ。4月30日までにチームで放った27本は、投高打低のリーグで唯一の20本超え。今後の上位進出に向けて明るい材料と言えるが、その先にある課題もまた見えている。

 日本ハムは現在までに29試合を消化し10勝19敗、パ・リーグの最下位だ。ただ目立った変化が本塁打数。昨年の29試合終了時点では14本にすぎず、今季の27本は実に2倍近い大幅増となっている。

 個人成績を見ても、新外国人のアリスメンディ・アルカンタラ内野手が6本塁打。4月24日のソフトバンク戦では、左右両打席本塁打をマークしている。昨秋の獲得時、新庄剛志監督は1997年のセ本塁打王、ドウェイン・ホージー外野手(元ヤクルト)に例えた。両打ちの大砲という期待に応えている。

 さらに2年目の今川優馬外野手も6本。4月28日のオリックス戦(東京ドーム)では自身初の1試合2本塁打を記録し、パ首位の山川穂高内野手(西武)の9本を追いかける。万波中正外野手が4本、昨季までの5年間で通算12本塁打にすぎない石井一成内野手もすでに3本放っている。グラウンドが広く、フェンスが高い札幌ドームを本拠地とする“不利”にもかかわらずだ。

 昨季日本ハム選手のシーズン本塁打は近藤健介外野手の11本が最高。6本以上放った選手は、9本の王柏融外野手、8本の高濱祐仁内野手、7本の野村佑希内野手、6本のロニー・ロドリゲス内野手の5人しかいなかった。あまりのパワーレス打線で、シーズン得点も454点でリーグ最低。トップのロッテとは130点という大差がついた。

 長打力が増している理由はいくつか考えられる。日本ハムはキャンプから新庄監督が積極的な打撃を奨励した。初球の甘いボールを見逃すケースがこれまで多かったと見ての指導だ。さらに、スポーツ庁の室伏広治長官を臨時コーチに招いての指導も関係しているだろう。ハンマー投と共通する「爆発的な力の出し方」を学んだナインが、結果につなげているといえる。

 課題もある。チーム得点が本塁打ほど伸びていないのだ。現在のチーム98得点は、昨年同時期の約15%増でしかない。開幕から勝ち星が伸びず苦しんだ日本ハムも、5位のロッテとは2.5ゲーム差。見えてきた最下位脱出を果たすには、一発の前に走者を置くような打線のつながりと得点効率も求められるだろう。

(Full-Count編集部)

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