柳田悠岐の満塁弾を呼び込んだ 鷹打線が山本由伸を苦しめた好投手攻略の“お手本”

次々にヒットエンドランをしかけたベンチの作戦も成功

 2回には中村晃が追い込まれてからファウルで粘って9球を投げさせ、5回には主砲の柳田までもが、追い込まれてから必死に粘って11球を投げさせていた。安打は早いカウントで生まれたものが多かったが、アウトになるにしても、1球でも多く投げさせようと各打者が取り組み、山本に“ジャブ”を浴びせた。その結果、5回を終えた段階で山本の球数は100球に達していた。

 試合後、藤本監督は「すごい褒めるべきところでもあるし、各選手がそういう気持ちでやってくれたんじゃないかなと思います。みんなね、よく打席の中で積極的に行く、かつ、粘れるっていうね。本当にいい打席にしてくれたんじゃないかなと思います。普通に淡白に行っても、あのピッチャーは打てるもんじゃないですからね。やっぱファウルで粘る、そして甘い球を柳田が仕留めるっていうね、本当に理想の展開だったんじゃないかなと思いますね」と頷いた。

 ベンチの作戦も山本を苦しめた。3回1死一塁。三森の打席で3球目にヒットエンドランを仕掛けた。これが右前安打となり、チャンスは一、三塁へと拡大。柳田の一ゴロ失策の間に先制点が生まれた。4回にも1死一塁でも今宮の打席でヒットエンドランを仕掛けて成功。ベースカバーに動いた遊撃手の逆を突いて左前へと転がり、これが2点目、3点目へと繋がった。立て続けの作戦成功に指揮官も「気持ちいいですよね。最高でしたね、やる前はドキドキしましたけど」と喜んでいた。

 各打者の粘りと積極的なベンチの仕掛けが相まって山本を攻め立て、勝負を決めた柳田のグランドスラムが生まれたのは、この日の山本の124球目だった。球数を投げさせ、疲れてきたところの失投を仕留める。好投手を相手にした際の“お手本”のような攻撃。これまでなかなか出来てこなかった形で、山本を攻略したことはホークスにとって大きな意味を持つだろう。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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