グラウンドの「赤」にまつわる秘話…新庄剛志監督と野村佑希に共通する“思い”とは

色が少ない今の日本ハム…その中に指揮官と同じ「赤」を使っていた選手が

 新庄監督の日本ハムでの現役時代、選手が続々と自分の「色」で固めた道具を使い、アピールした時期がある。愛弟子ともいえる森本稀哲外野手は緑を使った。現在の首脳陣でも、稲田直人内野手は黄色。派手なイメージのない金子誠内野手も、新選組の隊旗にある「あさぎ色」を好んで身に着け、ファンを楽しませた。

 球団もこのイメージを活用した。選手の個人グッズに色を取り入れ、打席のたびにスタンドには様々な色が揺れるようになった。2006年から4年連続のAクラス、3度のリーグ優勝を果たした強い日本ハムの象徴でもあった。

 今の日本ハムで、ハッキリと自分の「色」を主張しているのは、オレンジ色の杉谷拳士内野手くらいか。ただ、もう1人「赤」を選び取った選手がいる。4年目で三塁のレギュラー定着を期待される野村佑希内野手だ。打席に入るときの肘当てやすね当て、グラブはいずれも赤が基調で、これは新庄監督が就任する前から。今季はブルー基調となったユニホームとの対比で、ひときわ映える。野村になぜ、赤を身につけるのか聞いてみた。

「周りからもパッとわかるじゃないですか。見て印象に残る選手になりたいと思ったからです。自分自身、目立てるタイプではないので、そういうところから変わっていかないと」

 まさに、かつての新庄監督と同じ発想だった。日本ハムの「赤」は野村佑希と言われるようになった時、新たな常勝チームができ上がっているに違いない。

〇著者プロフィール
羽鳥慶太(はとり・けいた) 
神奈川で生まれ、愛知、埼玉などで熱心にプロ野球を見て育つ。立大卒業後、書籍編集者を経て2001年、北海道の道新スポーツに入社。プロ野球日本ハムを長年担当したのをはじめ、WBCなどの国際大会、アマチュア野球、平昌冬季五輪なども取材する。2021年よりFull-Count編集部所属。

(羽鳥慶太 / Keita Hatori)

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