野村監督は感謝、仰木監督は激怒… 松井稼頭央を“飛躍させた”日米野球への推薦

西武関係者から「選んでくれてありがとう」、野村監督も「いきのいい選手をよく見つけた」

 元々、ブレークの兆しを見せていたが、この日米野球で松井稼の知名度は一気に上がる。そして、翌年からは西武、そして日本を代表する遊撃手として活躍した。西武関係者からは「松井稼を選んでくれてありがとう」、野村監督からは「お前、選手を見る目があるな。将来、監督になれるよ」と、お褒めの言葉を頂いたという。

 MLB選抜との試合は2勝4敗2分で負け越すことになったが、後輩の大活躍する姿に新井氏はどこか満足気だった。だが、チームに戻ると、仰木監督の様子がいつもと違うことに気付いた。当時の西武はリーグ優勝を争うライバル球団。まさに“敵に塩を送った”新井氏に仰木監督は「お前、何やってくれたんだ。とんでもない選手を出してくれたな」と激怒していた。

「もともと素晴らしい才能を持っていた松井稼頭央だったので、これがブレークのきっかけになったとは思っていません。ですが、野村監督の要望に応えられたことは良かった。ただ、仰木監督はあの時は本気で怒ってましたね」

 温厚な仰木監督に激怒されたのは、この松井稼頭央の一件を含めて、2回だけだったという。もう1回は“右のイチロー”として大きな期待を込めていた谷佳知の打順を巡り、衝突した時だった。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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