なぜ西川遥輝は楽天で輝き増した? 移籍で復活した経験者が語る“気持ちの変化”

西川は「1番として信頼され、やりがいを感じているでしょう」

 中尾氏も中日がリーグ優勝した1982年に正捕手でMVPを受賞するなど、チームの看板として活躍していたが、外野に転向していた1988年のオフに巨人との交換トレードが決まった。「当時のトレードには今以上に、チームから放り出されるような嫌なイメージがありました」と吐露する。

 トレードは中尾氏を捕手として評価していた巨人サイドが望んだもので、当時の藤田元司監督から、伸び悩んでいた斎藤雅樹投手のリードを託された。主力の原辰徳内野手(現巨人監督)からは伊豆での自主トレに誘われ、集まった岡崎郁、駒田徳広らと一緒に練習。「キャッチャーに戻れたことで、野球が楽しくて楽しくてしようがなかったですし、原君が声を掛けてくれたお陰でチームに溶け込むことができた。巨人はプレッシャーがかかるチームと聞いていましたが、僕は全然感じなかったです」と振り返る。

 巨人はその年に日本一を勝ち取った。斎藤は20勝をマーク。カムバック賞を獲得した中尾氏は、復活できた理由に、明確な役割と新しい同僚たちの気配りを挙げる。そして現在の西川にも、自身に似た境遇を見ている。楽天は昨季1番打者が固まらず、チーム盗塁数もリーグ最少だった。西川は移籍会見の際に石井一久監督から声を掛けられたことを加入の決め手に挙げていた。

 今季の楽天は西川に刺激され、チームとしてもリーグ2位の36盗塁を量産中。昨季は年間4盗塁だった山崎剛内野手も、西川と並んでリーグ3位の9盗塁をマークしている。中尾氏は「西川は1番として信頼され、やりがいを感じているでしょう。気持ちが変わればプレーも変わる。この1年がダメだったら終わりになるぐらいの感覚でしょうが、あくまでプレッシャーを楽しみながらやっていると思います」とうなずく。野球ができる喜びに満ちている西川の姿は、楽天にとって最大の補強となっている。

(Full-Count編集部)

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