“ノーノー”より“10安打完封”が嬉しい? 鷹・東浜巨が理想に掲げる究極の投球

ソフトバンク・東浜巨【写真:福谷佑介】
ソフトバンク・東浜巨【写真:福谷佑介】

今季ついに取り戻した「ゾーンで勝負」する投球スタイル

 5月11日に行われた西武戦でノーヒットノーランを達成したソフトバンクの東浜巨投手。ライオンズ打線に最後まで安打を許さず、9回を97球で投げ抜いた。沖縄県出身者では初のノーヒットノーラン達成という快挙に、試合後の会見では「なかなかできることではないと思いますし、喜ばしいことだなと思います」と清々しい笑みを浮かべていた。

 本来の「東浜巨」としてあるべき姿を取り戻したピッチングだった。偉業を達成した後にも何度も口にしていたのが「しっかりストライクゾーンで勝負できた」という言葉。逃げ腰になることなく、ストライクゾーン内にボールを投げ込んで打者と勝負する。かわそうとするのではなく、ゾーンの中にボールを投げ込んでいく投球スタイルが、この日の快投を支えた。

 2017年に16勝をマークして最多勝を獲得するも、その後は右肩や右肘の不調もあって苦しい日々を送った。2018年からの4シーズンでは2020年の9勝が最多。思うように結果が出ないもどかしさが続いた。昨季も14試合の先発で4勝止まり。「去年もそれを思いながら投げて、でもやっぱ自分の状態にどうしても目がいってしまう」。ゾーン内で打者と勝負したいと思いながらも、本調子ではない自分の状態にどうしても目が向き、勝負に集中しきれなかった。

オフはファーム施設の近くに宿をとり野球漬けの日々を過ごす

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