“広角打法”へ進化を遂げるDeNA佐野 復帰後の打球方向に見える著しい変化

DeNA・佐野恵太【写真:町田利衣】
DeNA・佐野恵太【写真:町田利衣】

三浦監督「コースに逆らわず素直にバットが出ている」

■ヤクルト 5ー3 DeNA(22日・横浜)

 DeNAの主将、佐野恵太外野手が打率をリーグ3位の.331に上げ、24日からセ・パ交流戦に突入する。22日に本拠地・横浜スタジアムで行われたヤクルト戦に「2番・左翼」で出場し、5打数4安打の固め打ち。興味深いのは打球方向で、左飛に倒れた第5打席を含めて全てセンターから左方向へ飛んだ。

 佐野といえば、左のプルヒッターのイメージが強く、相手チームが内野手を右へ寄せる“佐野シフト”を敷くほど。ところがこの日、初回の第1打席で内角のカットボールに反応すると、打球はライナーで二塁ベースのやや左にいた遊撃手・長岡のグラブをかいくぐるようにして中前へ。3回の第2打席では左翼線二塁打を放った。5回の第3打席では、三遊間を守っていた三塁手・村上の頭上を超える左前打。7回の第4打席では、内野のシフトに関係なく大飛球で左中間を破り、二塁を陥れた。

 この日だけではない。背中の張りで戦線を離脱していた佐野は、16日ぶりに出場選手登録され即スタメン出場した21日に放った左翼線二塁打、左前打を含め、復帰後に放った全6安打を中堅から左に飛ばしている。

 三浦大輔監督は「本人に確認していないが、コースに逆らわず素直にバットが出ていると思う」と評した。一方で、他球団のスコアラーの間には「佐野らしい右方向への力強い打球が出ていない。背中の状態が万全でないのかもしれない」との声もあった。

 もともと、NPB歴代1位の通算868本塁打を誇る王貞治氏(現ソフトバンク球団会長)に対する“王シフト”は外野も右へ寄っていたが、“佐野シフト”の場合、外野は定位置。左方向へのゴロが少ないことに対応した形になっている。とはいえ、佐野はレギュラー1年目でいきなり首位打者を獲得した2020年以降、左翼へ飛ぶ割合が25.1%→28.8%→36.3%(22日現在)と増しているのも事実だ。

 昨季のセ・パ交流戦では、全18試合に出場して57打数17安打、打率.299。球団史上最高タイの3位躍進に貢献した。多彩さを増した佐野の打棒がセ・リーグ5位に低迷するチームを上位へ引き上げるか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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