ルール破ったら「使わない」 元阪神守護神はなぜ大成?…名伯楽語る衝撃の出会い

ソフトバンク時代のロベルト・スアレス【写真:藤浦一都】
ソフトバンク時代のロベルト・スアレス【写真:藤浦一都】

佐藤義則氏は鷹コーチ時代、現パドレスのスアレスにクイック投球など伝授

 昨季まで2年間、阪神で守護神として活躍し、今季はパドレスに在籍するロベルト・スアレス投手は2016年から4年間、ソフトバンクでプレーした。入団当時、投手コーチを務めていたのがパドレスのダルビッシュ投手や楽天の田中将大投手らを育てたことで知られる佐藤義則氏だ。NPB5球団で指導した名伯楽が外国人投手の指導について語ってくれた。

 佐藤氏は2015年にソフトバンクの投手コーチに就任。翌2016年にスアレスが入団した。「先発も抑えもできるし、ストレートも普通に150キロが出ていたからすごいのが来たと思った。きちんと話をしてクイックに取り組むなど色々教えました」。

 スアレスは同年、58登板で26ホールドと活躍したが、2017年に右肘のトミー・ジョン手術を受けるなど以降は怪我の影響で本来の力を発揮できず、2019年オフに戦力外となった。しかし、新天地の阪神でブレークし、2020、21年と2年連続で最多セーブのタイトルを獲得。佐藤氏の見立てに間違いはなかった。

「外国人投手の特徴として、我流でやってきているピッチャーが多い。だから、本人ときちんと話をすることから始めた」と佐藤氏。手始めにチームのルールを説明してそれを破った場合は「使わない」と申し渡していたという。一方で、救援投手は全体練習終了後は自由にさせるなどしてバランスを取っていた。

 選手からの信頼も得た。楽天コーチ時に在籍していたダレル・ラズナー投手は「もっと早くに(佐藤氏に)出会っていたらメジャーでもっと勝てた」と話したという。「運が良かっただけかもしれないけど、(首脳陣の)言うことを聞かないワガママな外国人に出会うこともなかった」と佐藤氏は振り返る。

「外国人選手は最初が肝心で、はっきりとダメなことはダメと言ってあげること」。異国でのプレーはやはり当初は不安がのしかかる。だからこそ佐藤氏は対話を欠かさず、きちんとルールを説明した。そうした姿勢が信頼を得た秘訣だろう。

(松永多佳倫/Takarin Matsunaga)

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