佐々木朗希を「そりゃ呼びたい」 侍ジャパン・吉井投手コーチが語る成長の過程

ロッテ・佐々木朗希【写真:荒川祐史】
ロッテ・佐々木朗希【写真:荒川祐史】

吉井理人氏にも意外なほど速かった成長「ここまで来るのか」

 ロッテの3年目、佐々木朗希投手の快進撃が止まらない。今季は自己最速に並ぶ164キロを連発し、4月10日のオリックス戦ではプロ野球新記録の13者連続奪三振、さらに史上16人目、28年ぶりの完全試合まで達成した。野球日本代表「侍ジャパン」で投手コーチを務める吉井理人氏は、来春に予定される「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の日本代表にも「そりゃ、呼びたいですよ」と招集を熱望する。プロ入りから日本代表レベルに至るまで、わずか2年あまり。吉井投手コーチの目に映った20歳右腕の成長過程を明かしてくれた。

 成長を感じていたとはいえ、ここまでとは……。完全試合をはじめとして、日本プロ野球の記録をいくつも塗り替えるほどの快進撃は、吉井氏にも驚きでしかなかった。

「(完全試合は)いつかやるとは思っていたけど、3年目の春だとは全く思っていなかった。成長のスピードが速いということでしょうね。去年を見ていても、投げるたびに良くなっていった感じがありますが、ここまで来るのかと。3年目は中6日で、100球くらいなら(ローテーションを)回れるかなと思っていました」

 吉井氏は2年前の春、ロッテの投手コーチとして佐々木朗と出会った。まず感じたのは体力不足。「3球以上、投げられるかな?」と思うほどだったという。それが「今は100球を超えても160キロを投げるでしょう。3年でここまで強くなるとは思わなかった」。超速の進化には、いくつもの節目があった。

 プロ1年目は、2軍でも全く実戦登板を行わないという異例の育成法がとられた。ただ吉井氏は「結果的にそうなっただけで、本当は投げさせたかったんです」と、決して狙い通りではなかったと振り返る。1年目の5月、試合で投げられるところまで仕上がったと思わせる瞬間があったという。

 ただ当時は、新型コロナウイルスが猛威を奮いはじめ、試合どころか練習まで制限される世の中だった。練習再開後に投球練習をしてみると、大きく後退していた。そこで下した“投げさせない”という決断は「自分の中では簡単でしたけど、監督がよく我慢してくれたと思います」。チーム、球団の「大きく育てる」という意思統一がなければ不可能だった。

長い手足を自在に操作「こんなに体幹が弱いのに、よく安定させているな」

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