見知らぬ番号から「王貞治です」 イチローの師が受けた“背筋が伸びる”1本の電話

ダイエーの監督を務めていた王貞治氏【写真:共同通信社】
ダイエーの監督を務めていた王貞治氏【写真:共同通信社】

2002年シーズン中、評論家として活動していた新井宏昌氏にかかってきた1本の電話

 南海、近鉄で通算2038安打を放ち、名球会入りを果たした新井宏昌氏。指導者になってからは仰木彬監督とのコンビで1995、96年にオリックスをリーグ連覇に導いた。2001年に退団すると、その手腕を買われて2003年からはダイエーの打撃コーチに就任した。本人の証言をもとに振り返っていく連載の第10回は「王貞治との出会い」。

 オリックスを退団し、評論家として活動していた2002年。シーズンも半ばに差し掛かった夏頃、携帯に見知らぬ番号から電話がかかってきた。半信半疑のままに出ると、まさかの相手に思わず背筋が伸びた。

「王貞治です。突然だけど来年、コーチの仕事をしてくれないか?」

 電話の相手は当時、ダイエーの監督を務めていた王貞治氏(現ソフトバンク球団会長)だった。巨人で通算868本塁打をマークするなど数々の記録を作った“世界の本塁打王”からの突然の電話に「まさかと思いましたが、声をかけてもらい、光栄だった。気持ちも舞い上がったが、王さんに恥をかかせられないプレッシャーも同時に感じました」と新井氏は口にする。

 オリックス時代に対戦相手の監督としての面識はあったが、プライベートの交流は皆無。ただ、唯一の接点だった名球会のイベントなどでは不思議と一緒になることが多かった。

ダイエーのチーム宿舎で王監督と密会「細かい技術的な指導をお願いしたい」

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