江川卓が佐々木朗希を羨む理由 190センチの身長を手にしたら「170キロを投げられる」

ロッテ・佐々木朗希【写真:荒川祐史】
ロッテ・佐々木朗希【写真:荒川祐史】

江川氏が一番好きな打者の打ち取り方は「一番好きなコースの“すぐ横”」へ投げる

――どういう方向と言いますと?

「完全試合をしたオリックス戦で19個の三振を奪いました。フォークボールで三振を奪っていることが多かったです。なので、今のところはフォークボールがウイニングショットとなっています。それがストレートで三振を取れるようになってくると、一つ段階が上がるなという風に思います。ですが、問題はそこから。そっち(スピードに)に向かうのかどうか。それは個々の考え方ですが、もう少し“精密度”を上げる方向にいくのかどうかの分かれ道が来ます。本人次第ですからどうなるかわかりませんが、楽しみです」

――仮の話になってしまうのですが、もしも、江川さんが170キロ投手になれたとしたら、真っすぐのスピードを追い求めるのか、それとも制球を求めるのか、どのような方向へ進むのでしょうか?

「僕は制球です。170キロの方にはいかないです。どうやったら(球速が)出るのかは知っていますが、そっち(スピード)を追わないですね。自分の好きなように言わせてもらうのならば、僕はバッターが一番好きなところのすぐ横(で打ち取ること)が一番好きなんです。少し間違えたら本塁打になる、危険なところなんですけどね。その付近で勝負してきました」

――結果以上に相手のバッターにダメージを与える打ち取り方ですね。それが理想のピッチングということになりますか?

「そうですね。ある意味ではそうかもしれませんね。そこが一番楽しいところです。打った方も、楽しいと思いますけどね。そこの戦いが一番面白いですね。(現役時代は)そういう戦い方をしていました」

――ストレートの話になるのですが、江川さんのストレートはホップするという風に打者から言われていました。ご自身の中で、佐々木朗希投手のストレートとは質が違うと感じていますか?

「そうですね。佐々木くんの方がバッターの方に(近づいて)行ってから上がっていくような気がしますね。僕の場合はもっと手前から上がっていくんじゃないかと思います」

――どちらも打者にとっては脅威ですね。

「どちらが良いとか悪いとかではなく、僕の方が多分ちょっと回転数が多いので、早めに上がってくる。だから、佐々木投手よりもボールが高いと思います。ボールの中で1個ぐらいの差です。多分、佐々木投手の球は低いところから上がってくる。そこでフォークボールが落ちるので、打者は全部、振ってしまう。高めに(ホップする感じで)行く(元阪神の)藤川さんの球の方が、僕の直球に近いと思います」

(第4回に続く)

○江川卓(えがわ・すぐる) 1955年5月25日生まれ、福島県出身。作新学院高(栃木)時代にノーヒット・ノーラン12回、イニング連続145回無失点など数々の記録を達成し、甲子園でも活躍。1978年に巨人に入団。9年間で135勝を挙げ、MVP1回、最多勝2回、最優秀防御率1回。1987年に現役を引退後は、野球解説者・評論家として多方面で活躍。チャンネル名の「たかされ」は座右の銘でもある「たかが野球、されど野球」、著書の「たかが江川、されど江川」というところから。

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【実際の動画】江川卓氏が同条件なら「170キロを投げられる」と断言 “令和の怪物”佐々木朗希と自身の違いとは?

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