岩橋玄樹さん、夢の東京ドームで巨人戦始球式 “休養”も打ち勝った“自分との戦い”

東京ドームでの始球式に登場した歌手の岩橋玄樹さん【写真:小林靖】
東京ドームでの始球式に登場した歌手の岩橋玄樹さん【写真:小林靖】

岩橋さんにとって東京ドームは“心の拠り所”、パワーチャージの場所

 夢が叶う瞬間――。それを見届けることも、素晴らしい時間だった。5月8日、東京ドームで行われた巨人-ヤクルト戦の始球式に、歌手・岩橋玄樹さんが“登板”した。投球術を追い求めてきたからこそできる洗練されたフォーム。投じたボールは右打者の外にそれたが、ノーバウンドで捕手のミットに収まった。打者に当たらないようにと配慮したアウトコースは、野球へのリスペクトが感じ取れた。彼は自分との戦いに勝ち、マウンドに帰ってきた。

 岩橋さんにとって、東京ドームは心の拠り所だった。小学校入学したばかりの頃に阪神戦を見た。目にした光景は今でも忘れることはない。いつかここに立つことを夢見て、自分自身も野球に夢中になった。好きなポジションは投手と遊撃手。巨人内野手の元木大介氏や主将の坂本勇人内野手に憧れる野球少年だった。辛い時があれば、ここで野球観戦をして、パワーをもらっていた。

 ジャニーズ「King&Prince」のメンバーだった岩橋さんは、ジャニーズJr.時代からアイドルの道を全力で駆け抜けていた。中性的な魅力でファンを魅了。ただ野球大会などで、本気を見せると、顔つきは男前に。そのギャップはすごかった。筆者は前職の仕事を通じ、Jr.時代に岩橋さんと出会った。野球雑誌で連載を始めた。一緒に取材に行くうちに「いつか始球式をやりたいんです」という真っ直ぐな夢を聞いた。確か、あれは5年前くらいだっただろうか。

 様々ジャンルの方々の始球式をこれまでも見てきた。いつか彼の夢の後押しがしたい。たとえ、岩橋さんのことを知らない人でも、視線を集められる投球を見せたい。“本物”が投げることで、場内をどよめくような場面を作りたい。そんな思いに駆られた。彼の野球愛、というか野球熱が“火傷”するほど高かったからだ。

 始球式登板の“ハードル”が高いことは知っていた。「夢を叶えてあげる」と無責任なことは言えない。でも、一緒に方法は考えることくらいはできた。その時のために準備をした。巨人や野球をより深く知る努力をすること、しっかりとフォームを作り、球速を上げること。マウンドに立つということは、それだけの野球に対する“リスペクト”が必要で、中途半端な気持ちではいけないと思ったからだった。

始球式は2018年8月の2軍戦でも経験済みも…

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