万能のリリーフへ変貌 ロッテ・東條大樹、“進化”の理由をデータで検証

ロッテ・東條大樹【写真:荒川祐史】
ロッテ・東條大樹【写真:荒川祐史】

東條大樹はリーグトップタイの28登板、同2位の15ホールドをマーク

 ロッテの7年目右腕、東條大樹投手が大活躍している。9日終了時点でリーグトップタイの28試合に登板して2勝1敗、防御率1.69。15ホールドはリーグ2位の数字だ。昨季5試合登板に終わった右腕は、何が変わったのか? 「年度別指標」「左右打者別成績」「結果球における球種割合」などのデータから検証する。

 現在30歳の東條は桐光学園高、青学大、JR東日本を経て2015年ドラフト4位でロッテに入団。2019年に自己最多の58登板で16ホールドをマークした。2020年も39登板で防御率2.54と活躍したが、昨年は僅か5登板に終わった。キャリア通算の奪三振率は8.34と高いが、与四球率は4.41。しかし、今季与四球率は2.36と、大きく改善している。制球力を示す「K/BB」も優秀とされる3.50を上回り4.00。キャリア通算の1.89を大きく上回っているだけに、課題の制球面が向上したのは明らかだ。奪三振率も今季はキャリアハイの9.45を記録している。

 左右打者別成績では、2019年は対右打率.228で対左打率が.311と大きな差があった。今季年は対右の被打率が.326と従来よりも高いものの、対左の被打率は.196に改善。打数と三振数も対左のほうが多くなっており、首脳陣の起用法にも変化が生じている。左打者が並ぶ場面でも送り出されるケースが増加。現在は相手の並びに関わらず7回に起用されており、“右の変則派”という従来の役割を飛び越え、1イニングを任せられる存在になっている。

 東條の最大の武器といえば、大きな変化を描くスライダー。2019年の結果球においては全体の半数近くに及び、2020年は割合が全体の半数以上を占めた。ところが今季は、スライダーの割合が2020年に比べて約11%低下。代わってストレートの割合が11%増加しており、速球で押す傾向が強まっている。また、新たにカーブを交えるようになったのもポイントだ。

 ストレートの質の向上とカーブの修得により、課題だった左打者との対戦成績が向上。キャリアハイの奪三振率を記録しながら与四球率を大きく改善させている。右打者への被打率を従来に近いレベルまで戻すことができれば、さらなる好投も期待できるはずだ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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