なぜセパの“格差”は縮まった? ドラフト戦略に現れる「求める選手像の違い」

象徴的な2019年ドラフト…佐々木朗希はパ、奥川恭伸はセが指名

 ただ、一方でロッテ・佐々木朗希という“令和の怪物”がまたもやパ・リーグに台頭。橋上氏は「過去のドラフト会議を振り返ると、1位指名が重複するような目玉をことごとくパ・リーグ球団が引き当ててきたことも事実。最近のドラフトはそれ以上に、セとパの求める選手像の違いが現れていると思います」と言う。

 象徴的なのは2019年のドラフトだ。大船渡高(岩手)・佐々木朗を1位指名した4球団は全てパ・リーグ(ロッテ、西武、日本ハム、楽天)。星稜高(石川)・奥川を指名した3球団は全てセ・リーグ(ヤクルト、巨人、阪神)だった。「当時の佐々木朗はまだ粗削りだったが、160キロを投げられるポテンシャルがあった。奥川は高卒の割にある程度完成されていて、即戦力に近いと見られていた。どちらのタイプに魅力を感じるか、という考え方の違いが明白だったと思います」と橋上氏は話す。

 その上で「素材重視で獲得したパの選手たちが育ってくれば、ここ数年のうちにセ・パの野球の質の違いとなって現れてくる可能性がありますし、勝敗にもつながるかもしれません」と橋上氏。毎年セとパの力の差、野球の違いを測る上で、交流戦はやはり魅力的だ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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