日本ハム万波中正の“規格外”の打撃スタイル 異次元の打撃指標が示す大器の片鱗

日本ハム・万波中正のコース別打率(左)と球種別打率【画像提供:パ・リーグインサイト】
日本ハム・万波中正のコース別打率(左)と球種別打率【画像提供:パ・リーグインサイト】

コース、球種ともにハッキリしている得意と不得意

 次に、万波が2022年に記録している、投球コース別の打率を確認しよう。

 ど真ん中のボールに対して非常に高い打率を残しており、甘い球を逃さずに捉えている。また、外角の球に対しても、一定以上の強さを発揮していることが示されている。192センチという恵まれた体格を利したリーチの長さを、上手く打撃に生かしている。さらには、内角低めに対して、ストライク、ボールの双方で打率.400を超える数字を残しているのも特徴的。厳しいコースとされるインローの捌きが抜群に上手い点も打撃センスが表れている。

 その一方で、内角の真ん中と高めに対しては打率.000と、一転して大の苦手としている。また、真ん中の高めと低めも打率.143となっており、得意、不得意がはっきりしているタイプと考えられる。得意ゾーンの爆発力は驚異的なものがあり、明確なツボを有している。豪快な打撃スタイルは、こうしたコース別打率にも表れている。

 最後に、万波が2022年に記録している、球種別の打率を紹介する。

 カットボールに対して打率.400というハイアベレージを記録している点をはじめ、8つの球種のうち3球種に対して、打率.270以上を記録。シュートに対しても高い打率を残している。しかし、速球とフォークに対して打率1割台と弱点も明白だ。パ・リーグには速球派の投手が多く、真っ直ぐの苦手を克服できれば、成績アップにも期待が持てる。特にリリーフは速球とフォークを主体に組み立てる投手も多い。この2球種への対応力が向上すれば、試合終盤の重要な局面においても、その勝負強さを発揮できるかもしれない。

 得意とする外角のボールやど真ん中の甘い球を早いカウントから打ちに行く豪快さに加え、インローの捌きや、得意とする球種の多さも特徴の万波。球種、コースの双方で示された弱点の多さや、何よりも選球眼に課題は残すが、そうした欠点すらも特徴にしてしまうほど突き抜けた魅力のある選手といえる。

 超がつくほどに積極的な打撃スタイル、恵まれた体格と身体能力、そして天性の打撃センスによって生み出される力強い打球は、まさに規格外と呼ぶに相応しい。見る者を楽しませる選手としての資質を十二分に示す姿に、今後も注目が集まっていくことだろう。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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