全米1位指名も戦力外、うつ、無期限休養…「MLB史上最大の失敗作」の復活劇に涙

フィリーズのマーク・アペル【写真:ロイター】
フィリーズのマーク・アペル【写真:ロイター】

2013年のドラフト全体1位、フィリーズのマーク・アペルがメジャー初登板

 フィリーズのマーク・アペル投手が6月29日(日本時間30日)、メジャー初登板を果たした。2013年のドラフト全体1位で指名された右腕が紆余曲折を経て辿り着いた大舞台での登板に、全米が感動に包まれた。「MLB史上最大の失敗作」とのレッテルまで貼られた30歳のここまでの道のりを、MLB公式サイトも特集を組んで紹介している。

 2013年ドラフト会議で全体1位指名権を持つアストロズが選択したのは、スタンフォード大のアペルだった。日本プロ野球のドラフト会議とは異なり、1巡目から完全ウェーバー方式で実施されるため、全体1位は特別な存在として扱われる。この年はクリス・ブライアント(全体2位)、アーロン・ジャッジ(全体32位)ら有望選手も多かったが、その中でも最も注目を集めた。

 しかし、アペルは大きすぎる期待に応えられなかった。故障などで伸び悩み、2015年オフにトレードでフィリーズに放出された。シーズン終了後に事実上の戦力外であるDFAになると、2018年には無期限の休養を発表した。記事では、全体1位指名を受け、そのチームと契約しながらメジャーデビューを果たしていなかった史上わずか3人のうちの1人であると紹介している。

 誰もがこのまま引退かと思ったが、2021年シーズンを前にアペルは戻ってきた。記事によると、引退も視野に入れながらも右肩の手術を受けていたという。そして今季はマイナー3Aで19試合に登板して5勝0敗、防御率1.61の好成績を残すと、25日(同26日)についにメジャー初昇格を果たした。30歳と349日でのメジャーデビューは、全体1位指名の選手としては史上最年長だったという。

 デビュー戦は9回から4番手で登板し、1回を1安打1奪三振無失点。記事では本人のコメントを紹介している。「絶望した時もあった。この夢は決して叶わないと感じた時もあった。だから、ああ、涙をこらえていたよ。観客が声援を送ってくれているのが聞こえた。私のストーリーや背景を知ってくれているんだろうね。本当に特別な瞬間だったよ」。ファンからも「映画化しないと」「素晴らしいストーリー」と感動の声が多く寄せられた。

 昨年9月、アペルは自身の経験をツイッターで伝えている。「私は“MLB史上最大の失敗作”と呼ばれた」と辛い過去を回顧し、「2014年、私は人生で初めてうつを経験した。酷い試合が続いた後、私はロッカールームの壁をぶち壊してしまった」と明かした。それから約9か月、苦労人がついにメジャーの舞台に辿り着いた。

(Full-Count編集部)

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