新聞記者からまさかの“就任要請” 広島・松田オーナーに託された3連覇の土台作り

広島2軍コーチ時代の新井宏昌氏【写真:共同通信社】
広島2軍コーチ時代の新井宏昌氏【写真:共同通信社】

2013年から広島の打撃コーチに就任した新井宏昌氏

 オリックス、ソフトバンクでコーチ、2軍監督を務めた新井宏昌氏は2013年に広島の打撃コーチに就任すると、丸佳浩外野手(現巨人)、鈴木誠也外野手(現カブス)、菊池涼介内野手らを指導し、リーグ3連覇の土台を作り上げた。現役時代を含め、初めてのセ・リーグでは新たな発見もあったという。本人の証言をもとに振り返っていく連載の第15回は「縁もゆかりもなかった広島カープ」。

 2012年はオリックスの2軍監督を務めていた新井氏。シーズンを終え、秋のフェニックス・リーグに向けた荷物出しを行っていた最中に、球団から来季の契約を結ばないことを通告された。何の前触れもなく、当初は驚いたというが「(開催地の)宮崎に行く前日だったので戸惑いましたが、私の指導者人生はこれで終わりかなと思いました」。60歳を迎えており、現場を離れる決意もできていたという。

 神戸の自宅に戻り、数日間、ゆっくりと過ごしていたある日、突然、玄関のインターホンが鳴った。玄関先に訪れていたのは、広島担当の新聞記者だった。その記者から驚きの“オファー”が伝えられた。

「松田オーナーからの伝言で『カープで打撃コーチをやって頂けないでしょうか?』と。意思を確認したいとのことです」

 縁もゆかりもない広島からのオファーに新井氏は「どうしてセ・リーグ? なぜ松田オーナーが?」と戸惑った。1994年から始まった指導者人生に一度は区切りを付けようと思っていたが、予期せぬ誘いに心は揺らいだ。半信半疑のまま広島に向かい、まずは松田元オーナーに事の経緯を伺うことにした。

松田オーナーから就任要請「言葉の使い方で選手の取り入れ方は違う」

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