5回の40球と6回の9球 狙い通りの展開のはずか…競り負けた鷹打線の“明”と“暗”

ソフトバンク・藤本博史監督【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・藤本博史監督【写真:藤浦一都】

5回に粘りに粘って上沢に40球を投げさせるも、その後の6回と7回は…

■日本ハム 4ー2 ソフトバンク(8日・PayPayドーム)

 ソフトバンクは8日、本拠地PayPayドームで日本ハムと戦い、延長戦の末に2-4で敗れた。1点ビハインドの8回に牧原大の適時打で同点に追いつき、延長に持ち込んだものの、10回に津森が石井に勝ち越しの2ランを被弾。4時間12分の長時間ゲームの末に、悔しい敗戦となった。

 同点に追いついたのは1点を追う8回だった。7回まで119球を投じていた上沢はこの回も続投。そして、ソフトバンク打線はようやく右腕を捕まえた。先頭の三森が三振に倒れたものの、周東が右中間を破る三塁打。続く牧原大が中前適時打を放って同点。ようやく試合を振り出しに戻した。さらに柳田が二塁打で続いたものの、1死二、三塁で柳町が空振り三振。今宮も二ゴロに倒れて勝ち越しとはならなかった。

 8回に上沢をつかまえたのは打線の粘りから。ただ、8回まで上沢を“投げさせてしまった”のも打線だった。同点劇に繋がったのは5回の攻撃。先頭の中村晃が粘って8球目を中前安打。続く川瀬は空振り三振にこそ倒れたものの、13球を投げさせた。2死二塁で1ボール2ストライクから3球ファウルで粘った三森は7球目を中前適時打。この回、打者6人で上沢に40球を投げさせ、右腕の球数は99球にまで積み上がった。

 ただ、続く6回は柳田が5球目で左飛に倒れると、柳町が3球三振。今宮は初球を打ち上げて右飛に倒れた。この回、上沢が要したのは、わずか9球だけ。球数は108球にしか増えなかった。7回も先頭の中村晃が粘って8球を投げさせたものの、川瀬は初球を中飛、海野は2球目を打って遊ゴロに倒れた。この回は11球に終わった。

 試合後、藤本博史監督は「(上沢は)今日はよかった。コントロールも良かったし、緩急をうまく使っていたし。そんな簡単に、つないでいこうと言っても、いいピッチャーがいいピッチングしたら、3割バッターをずらっと並べても、そう簡単にはつながらない。それが各チームのエースというピッチャーだと思う」と打線を庇った。ただ、5回にあれだけ球数を要させたからこそ、6回でマウンドから引き摺り下ろしたかったところではなかったか。

 藤本監督は常々、追い込まれてからの“ツーストライクアプローチ”を重視してきた。追い込まれてからは球数を投げさせ、相手の先発を早い段階で降板させてリリーフ投手をつかまえるのが狙い。まさに5回はその理想的な展開だったからこそ、その後の6、7回の攻撃が少しばかり惜しかった。8回を同点止まりで終えると、延長10回で競り負け。ひっくり返せそうでひっくり返せない、もどかしい試合だった。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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