借金完済間近のDeNAがセの“台風の目” 三浦監督が称える新1、2番の存在感
オースティン復帰でポジション争い激化?「うれしいことです」
この日は2点を追う初回、蝦名は中飛に倒れるも、桑原はヤクルト先発サイスニードのチェンジアップが真ん中に来たところをとらえ、左翼ポールを直撃する2号ソロで反撃ののろしを上げた。3回には、先頭の蝦名が死球で出塁した直後、桑原は初球をセーフティーバントして三塁線方向へ転がし、本人が「プロ11年目で初めて決まった」と言うバント安打でチャンスを拡大。後ろへつなぐ意識が生んだ一打と言えそうだ。実際、この回一挙4得点の逆転劇につながった。
そして6回、ヤクルト2番手・宮台の暴投で1点を追加した後、1死一、二塁で蝦名が投手強襲安打を放ち、満塁に。ここで桑原が右翼手の頭上を超える2点適時打を放ち、試合を決定づけた。
ただしDeNAでは、開幕直前に右肘のクリーニング手術を受けて出遅れているタイラー・オースティン外野手が、復帰へ向けて2軍で着実に実戦を重ねている。本来の右翼レギュラーで主砲のオースティンが戻ってくれば、“名コンビ”の蝦名と桑原は、外野の一角を争うライバルに立場を変え、どちらかがベンチを温める可能性が高い。三浦監督は「悩みではなく、うれしいことです。オースティンも準備してくれているし、時期が来たら考えます」と話す。
チームの“借金”は6月26日時点で今季最大の9まで膨らんでいたが、とうとう「1」となった。三浦監督が当面の目標としてきた“完済”が近づいている。2位から5位までが1.5ゲーム差内にひしめく“混セ”にあって、ベイスターズの存在感は日に日にます。その先頭を切って、桑原と蝦名が緊張感をみなぎらせながらチームを牽引している。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)