非公開練習にもファンが…プロになった芸人・高岸宏行に期待される「いいお手本」

練習に初参加した栃木ゴールデンブレーブス・高岸宏行【写真:編集部】
練習に初参加した栃木ゴールデンブレーブス・高岸宏行【写真:編集部】

デビュー登板はいつ? 現場レベルでは「若手選手のお手本」に

 決して盛況とは言えないBCリーグ。観客は数百人程度で、2桁にとどまる試合も少なくない。コロナ禍も追い打ちをかけ、客足が一向に伸びない中で、高岸の存在はたとえ一過性でも起爆剤になる可能性は十二分にある。8月に栃木のホームゲームは11試合予定されており、仕上がり具合を鑑みながらデビュー日を定めていく。

 周囲が期待するのは、本格的な「野球芸人」がどこまで通用するかという“エンターテインメントショー”。ただ、現場レベルでは、別の存在価値も見いだしている。ロッテなどで通算96勝を挙げた成瀬善久兼任投手総合コーチは「野球のパフォーマンスも、メディアに対するパフォーマンスも、選手たちにはいいお手本が来たなと思っています。同じチームメートでもあり、ライバルでもある」と言う。

 大学まで一線でプレーしていたとは言え、長いブランクがある三十路前での挑戦。俳優など活動の幅を広げる芸能界との両立はできるのか。全く結果が伴わなければ、やはり話題作りだったのかと冷ややかな目を向けられる可能性もある。

 ネガティブ要素を全て飲み込んだ上でのチャレンジ。それは、華やかなNPBを目指す若手選手に見習ってほしい姿でもある。「残りシーズン考えたら短い。本人が一番プレッシャーを感じているんじゃないかと思いますが、本気度はすごく伝わってきた」高岸の“意気”に、成瀬コーチは胸を打たれ、全力サポートを約束する。

「諦めなければ、一生懸命にやれば……できるっ!!」

 報道陣から意気込みを問われ、高岸の大声が夏空に響いた。“芸能界最速”の芸人がもたらす、有形・無形の効果はどこまで広がっていくのか。少なくとも、デビュー戦のスタンドがごった返すのは、想像に難くない。

○著者プロフィール
小西亮(こにし・りょう)
1984年、福岡県生まれ。法大から中日新聞社に入社。石川県や三重県で司法、行政取材に携わり、中日スポーツでは主に中日ドラゴンズやアマチュア野球を担当。その後、「LINE NEWS」で編集者を務め、独自記事も制作。2020年からFull-Countに所属。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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