トウモロコシ畑で鈴木誠也は何を見た? 名作野球映画のロケ地で考える“父との絆”

不朽の名作をすぐにでも観たい…鈴木誠也は何を思うのか

 ケビン・コスナー主演の同作は、コスナー演じるレイ・キンセラがある日突然「それを造れば彼はやって来る」という天の声を聞く。レイは野球場を造ればかつてのスター選手、シューレス・ジョーが来ると信じ、持っていたトウモロコシ農場をつぶして球場を造った。ジョーの仲間たちも天から戻りフィールドでプレーをした。その数人の仲間の1人が、この日鈴木のキャッチボール相手となったダン・ケネディー氏である。映画で着用した1919年当時のホワイトソックスのユニホームを着用し、かつてのロケ地で周囲の注目を集めていた。

 映画は、鈴木がこの世に生まれる5年前に公開されているが、まさに夢のような舞台で実際にプレーを終えた鈴木がこの作品に興味を持つのも当然であろう。

『フィールド・オブ・ドリームス』の最後の場面で、レイは亡き父親とキャッチボールをする。野球への夢を捨ててしまった父ジョン・キンセラに息子は反発し、激しい言葉をぶつけた。時が過ぎ、後悔が生んだ故人への深い愛情が通じるクライマックスシーンである。これをフィクションと言えばそれまでだが、この地を訪れ試合が終わるまでを過ごした10時間は、「ばかげた空想」と言わせない何かを鈴木に教えたような気がする。

 この不朽の名作を見終えた時、鈴木誠也はきっと思うだろう。メジャーを目指すまでに自分を導いてくれた父、宗人さんと取り組んだ遠い日々のことを――。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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