今季で現役引退、西武・内海が見せた熟練の技 19球に凝縮されたプロ19年のエキス

辻監督「見習うべきところはいっぱいある」

 改めて痛感したのは、リリーフの難しさだった。「先発はある程度準備期間があって、徐々に心も体も合わせていけますが、中継ぎは電話1本で行かなくてはならない。ジャイアンツ時代にも何度か経験させてもらいましたが、(中継ぎの)スペシャリストたちには尊敬しかありません」とこうべを垂れる。「先発とは職場が違い、スイッチの入れ方が違う。引退前ですが勉強になります」とも。今季からコーチ兼任となっているが、引退後指導者となっていく上で糧になるだろう。

「140キロに満たない真っすぐであっても、しっかりインコースに速い球を見せて効果的に使っていたし、何より低め低め。他の投手が見習うべきところはいっぱいあると思う」と感嘆したのは辻発彦監督。確かに、19球全てがベルト付近より下で、高めは1球もなかった。ボールが先行すると、簡単には手を出しにくい内角いっぱいの速球でカウントを整えた。

 エースの高橋光成投手は「内海さんには相手打者への入り方、考え方について、いろいろお話をしていただきました」と言う。具体的には「自分のスタイルを大事にするということ。チームとして試合前のミーティングで相手打者の攻略法を立てますが、内海さんはまずしっかり内角を使うことを考えていたそうです。『自分は内を攻める投手だから』とおっしゃっていました。僕も、もっと自分を知り、もっと自分のいいところを出せる投手になりたいです」と語る。

 引退試合&セレモニーは9月に改めて行われる見込みで、残りわずかな登板には、現役選手もファンも1球1球注目するだろう。内海自身「登板に向けてしっかり準備するところは、(後輩に手本として)見せられるかな。中継ぎとしての経験はありませんが、今までやってきたキャリアの引き出しを全て開けながら、なんとか乗り越えていきたい」と使命感を燃やす。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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