万能指標「WAR」もうまく評価できない二刀流の凄さ 大谷翔平のMVP争いに逆風?

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】
エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

ジャッジが1位、大谷は4位の現状…指名打者としての出場はマイナスなのか?

 エンゼルスの大谷翔平投手は今季、投手として10勝7敗、打者として27本塁打72打点という数字を残している。もちろん、ア・リーグMVP候補として名前が挙がっておかしくない成績だ。ただ実際には、46本塁打しているアーロン・ジャッジ外野手(ヤンキース)のほうがMVP選出の可能性が高いとする声が多い。

 その一つの根拠が、異なるポジションの選手を「どれだけ勝利に貢献したか」という点で評価する数値「WAR」だ。ただ万能に見えるこの数値にも、大谷のような二刀流選手をきちんと評価できていないという見方がある。

「WAR」は「そのポジションの代替可能選手に比べて、どれだけの勝利数を上積みしたか」という数値だ。特徴は、投手と野手を同じ土俵で比較できること。米データサイト「ベースボール・リファレンス」が算出したものによれば、現在メジャーリーグのWARはジャッジが6.9で1位。2位がマーリンズのエース、サンディ・アルカンタラ投手で6.8。続いてカージナルスのポール・ゴールドシュミット内野手で6.7。大谷は4位で6.3だ。

 この数値も、大谷のような“二刀流”選手をうまく評価できていないとする人もいる。算出する際、守備位置によって補正が加えられるためだ。守備位置による負担の違いを考慮したもので、捕手や遊撃手が大きく数値加算される一方、外野の両翼や一塁手の評価は低い。指名打者としての出場は、無条件でマイナス評価され、先発投手はプラスでもマイナスでもなく「0」だ。今季の数値で見るとジャッジの守備貢献は「0」、大谷は「-1.1」で、もし大谷も他の先発投手のように「0」なら、ジャッジを越えているという主張だ。

 意外なところからこの問題が指摘された。俳優のマイケル・ウェルチ氏は自身のツイッターで、投げない時は指名打者を務める大谷の数値が減点されるのは「理にかなっていない。先発投手は投げない日にはマイナス評価されない。これは受け入れがたいことだ」とツイートした。

「WAR」は公式な記録ではないが、MVP投票権を持つ記者の中には参考としている人も多く、今季のMVP争いにも無関係とは言えなさそうだ。守備位置補正は毎年、値が修正される。今後、大谷のような選手を評価するための改定もあるのだろうか。

(Full-Count編集部)

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