西武・エンスは本拠地7勝1敗の“内弁慶” 浮沈のカギ握る1勝5敗の敵地克服

西武のディートリック・エンス【写真:宮脇広久】
西武のディートリック・エンス【写真:宮脇広久】

6回3安打1失点で與座に次ぐチーム2位の8勝目を挙げた

■西武 3ー1 オリックス(21日・ベルーナドーム)

 西武のディートリック・エンス投手が21日、本拠地ベルーナドームで行われたオリックス戦に先発し、6回3安打1失点。與座の9勝に次ぐチーム2位(リーグ4位タイ)の8勝目(6敗)を挙げた。来日1年目の左腕はベルーナドームでは10試合7勝1敗、防御率1.68と圧倒的な投球を披露しているが、対照的に敵地となると8試合1勝5敗、防御率3.94と苦戦している。

 迫力満点だった。初回に味方打線から2点の援護を受けると、2回には頓宮に左翼ポール際へ5号ソロを運ばれたものの、追いつかせはしない。3回にも1死三塁のピンチを背負ったが、福田が放った痛烈なピッチャー返しのライナーに、咄嗟に右手を伸ばしダイレクトキャッチ。続く中川に対しては全4球がストレートで、最後は外角高めの149キロを振らせて三振に仕留めた。リードする捕手・柘植は「球が強い投手なので、押し切れると思っていきました」とうなずいた。

 バットを押し込む強さを感じさせるストレートを軸に、カットボール、スライダー、カーブ、チェンジアップも制球良く決める。長年先発左腕不足に悩まされてきたチームにとって、救世主的な存在となっている。ただし、来日1年目とあって、マウンドに慣れない球場も多いのか、本拠地以外では黒星が大幅に先行している。

 辻発彦監督は「マウンドだけではないでしょう。本拠地では声援もあるし、そういう意気に感じて投げるピッチャーだからね」と指摘する。エンス自身もこの日お立ち台で、本拠地で強い理由を「それはファンです。ファンの方々の応援がモチベーションになり、後押しになっている」と語り、スタンドから拍手を浴びた。

 来季もチームに残れば、いずれ敵地にも適応しそうである。とはいえ、球宴後は毎週日曜に先発しているエンスが、今後も同じ間隔で登板するとすれば、次回は京セラドーム大阪でのオリックス戦、その次もPayPayドームでのソフトバンク戦で、敵地が続くことになる。21日現在、1位から4位までが2.5ゲーム差内にひしめく大混戦の中で首位に立っている西武。エンスが今季中にどこまで“内弁慶”を克服できるかが、浮沈に大きく関わってくるかもしれない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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