大谷翔平が体調不良の中で重ねた「最大限の努力」 相棒も絶賛、極上のアスリート魂

「自分の中では4回投げられると思っていなかった」

 覚悟を決めて立ったマウンド。それでも行先はまったく見えていなかった。

「自分の中で4回まで投げられると思っていなかった。満塁にしたりとか制球が定まらなかったりとか、そういうところがありきの80球(85球)近くなので。逆に投げられるとは思ってなかったので。もう少し最後の最後抑えて4回を投げて5回までいければ、もう少しチャンスのあるゲームだったかなと思いますね」

 5月に食あたりで数試合の欠場を余儀なくされたスタッシー捕手は「できるだけ長いイニングを投げられるようにリードした」と振り返ったが、こうも言った。

「健康体であっても、腰の張りだとか蓄積した疲労や睡眠不足などもあったりする。それでも戦いの場に出て、仲間たちのために自分の持てる力を出す。自分の体の一部を犠牲にするかのような姿勢でチームに貢献しようとするのがプロ魂というものじゃないかな。ショウヘイがしたことはそれ。最大限の努力をしたんだ」

 移動日なしで乗り込む22日(同23日)からのセントピーターズバーグでのレイズ戦に向けて大谷は歯切れよく言った。

「ウイルスではないかなとは思うので。単純な疲れで、もどしてはいないので、大丈夫かなと思います。また切り替えていきます。頑張りたいなと思います」

 前日の試合で、自打球を右足つま先付近に当てて悶絶の表情を浮かべた大谷は、そこにも触れ「爪だったので、はがれなければ大丈夫かなと思っていたので」と振り返っている。投打の二刀流を続ける中で起きた体調不良での出場に否定的な声もあろう。しかし、この日の大谷の姿には、「気概」では到底足りないトップアスリートとしての精神の豊饒さを感じた。

 会見を終えた大谷は、ロッカーの椅子に背を向けて座り軽い食事を口にした。大谷翔平は大丈夫だ。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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