なぜスタメン抜擢の海野に5回で代打? 鷹・藤本監督が繰り出した“勝負手”の思惑
藤本監督の頭にあった「7回までに何とかしなくちゃいけない」
この5回のチャンスでの思い切ったベンチの“勝負手”。4点ビハインドとはいえ、いささか驚きだった仕掛けを藤本監督は「チャンスだったというのも1つだし、やっぱりロッテの8回、9回っていうところは強烈なリリーフ陣がいるんで。7回までに何とかしなくちゃいけないって、早め早めの交代っていうのは今日は最初から考えていた」と説明する。
ロッテの現状の勝利の方程式は、メジャー時代に最速167キロをマークしたこともある剛腕タイロン・ゲレーロ投手が8回のセットアッパーを務め、クローザーはメジャーで最多セーブに輝いたこともあるロベルト・オスナ投手が務める。
「ゲレーロとオスナっていうところはなかなか強烈な抑え陣なんでね。そこまでに何とか逆転、あるいは追いつくっていう形の展開に持ち込もうと思ったら、やっぱりチャンスだったら早い回でもいくと」。2人に繋がれる展開にはしたくない、との思惑からの“早仕掛け”だった。
先行して逃げ切りたかったところだが、理想とは真逆の展開に持ち込まれたソフトバンク。結局、序盤に背負ったビハインドを跳ね返すことができず、指揮官も「7回までに先行するのが理想だったんですけど、それが先に先行されてね。何とか早く追いつかなきゃいけないっていうところで」と言う。
主力の大量離脱直後にチームを救った若手たちも、他球団からの研究も進み、勢いに陰りが見える。26イニング連続無得点、2試合連続完封負けと苦しい状況となり、藤本監督は新型コロナ陽性からこの日2軍戦で復帰したばかりの柳田悠岐外野手の1軍合流を決め、中村晃外野手や牧原大成内野手、周東佑京内野手らも2日からのウエスタン・リーグのオリックス戦で続々と実戦復帰してくる。チームのタレントが揃うまで、あともう少し。西武との首位攻防戦は踏ん張りどころとなりそうだ。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)