顧客を元近鉄助っ人と勘違い? 40歳で社会人に…通用しなかった「プロ野球の常識」

Suicaも、チャージも知らず…「東京はすごいですね」

 東京に単身赴任した不惑のオールドルーキーは当初、戸惑ってばかりだった。「40歳でこんなにものを知らない社会人はダメだなって思いました。プロ野球の常識が社会の常識には通じない。最初の1か月は嫌になりました。だってクライアントって何? (元近鉄助っ人の)ブライアントならわかるといって相手を仰天させたこともありましたからね。ビジネス用語がとにかくわからなかった。いちいち、それはどういう意味ですかって聞いて、そのたびに会議を止めていました」と明かした。

 電車に乗るのも大変だったという。「会社から3駅のところに住んでいたんですが、満員電車が嫌で、3か月で引っ越して自転車通勤に変えました。Suicaも知りませんでしたし、チャージもわかりませんでした。教えてもらったとき、東京はすごいですねって言いましたよ。東京だけじゃないですと言われましたけどね……。すべてが、そんな感じだったんです」。とにかく勉強の日々。しかし、家族の支えもあり、くじけなかったし、諦めなかった。

 徐々に持ち前のプロ野球界ネットワークを駆使。前田健太投手(現ツインズ)をはじめ、多くのプロ野球選手と契約を結んでいった。「本格的に仕事になったのはベンちゃん(和田一浩氏=元西武、中日)だったですね。そこから、どんどん増えていって、20数名にまでなりました」。そんな実績を積み重ね、2009年にはスポーツビズの関西支社の支社長に就任。マネジメントの対象もプロ野球選手だけではなくなり、人脈を広げていった。そしてさらなる転機が訪れ、独立へとつながっていく。

【実際の写真】打撃投手時代の前田さん オリックス時代の若き日のイチローとの貴重な一枚

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