クビ寸前からの首位打者 名伯楽も驚いた“大器晩成”、広島のヒットメーカー

10年目で首位打者&最多安打「先入観を持ってはいけないと教えられた」

 189本のヒットを重ねて、.337で首位打者と最多安打のタイトルを獲得した。同じ背番号55で左打者。巨人からヤンキースに進んだ松井秀喜外野手の愛称「ゴジラ」をもじり、「赤ゴジラ」と呼ばれた。選手生命の瀬戸際からタイトルを獲得するという“シンデレラストーリー”も加味され、赤ゴジラ旋風が球界に巻き起こった。

 嶋が広島に入団した当時、内田氏は巨人の指導者。広島に戻った当初は、嶋の実績や特徴などをほとんど知らなかった。「だから先入観がなく新鮮な目で見ることができました。嶋が10年目でタイトルを獲ったことで『先入観を持ってはいけない』と教えられました」。

 嶋は2012年に西武に移籍し、2013年に現役引退。2014年から西武でコーチを務めている。嶋から相談を受けたこともあったそうで、内田氏は決まってこう言ったという。

「お前がやってきたことを西武で教えればいいんだ。首位打者になった時にどれだけバットを振ったんだ。バットマンはバットを振ったもん勝ち。それを選手に伝えればいい」

 内田氏の指導技術と熱いハートは教え子に受け継がれ、プロ野球界に広がっている。時代は流れ、今年日本ハムの松本剛外野手が怪我で苦しみながらも高打率をマーク。松本は過去に規定打席到達が1度だけ。11年目の今季に一気に開眼した。2004年の首位打者だった嶋も、10年目の遅咲きで初めて規定打席をクリアした。指導者や考え方の変化……いつ選手が“化ける”のかはわからない。

「嶋は化けましたね。そしてもう1人化けたのが新井」。次回は広島、阪神で通算2203安打を記録した新井貴浩について聞く。

(Full-Count編集部)

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