プロ5勝の元左腕が社長になれたワケ 「ハガキ持ち歩け」感謝する“亡き父の教え”
目指すゴールはまだ先「僕の下心は『前田さんやりおったな』って言われたいこと」
現役時代、プロ通算成績は5勝2敗だった前田氏だが、4球団を渡り歩き、運のいいことに8回も優勝を経験。「野球のおかげで膨大な人脈ができました」という。オリックスではイチロー氏と出会い、スポーツマネジメントの関係者とも知り合い、伊原監督の監督付広報を経て、転身。まさに運と縁に恵まれて、ここまできたが、加えて今は亡き父のおかげとも思っている。
「プロに入るとき、親父に言われたんです。『わしはプロのことはわからんけど、おそらく名刺はないはずや。顔が名刺の世界だから、ごちそうになったりとか、物を贈ってもらったりとか、おもてなしをされたときには必ず一筆を書きなさい、かばんの中には官製はがきを10枚か20枚、いつも持っておくように』って」。前田氏はそれを実行していた。「僕は義という言葉が好き。何かそういうことを大切にできる男でありたいなと思っています。これも親父の影響ですね」と感謝している。
もちろん、ゴールはまだまだ先だ。「僕の下心は『前田さんやりおったな』って言われたいことなんです」と笑う。「そのためにも、人に喜んでもらえる僕じゃないといけないし、僕のところに人が集まるようにしなければいけない。『困ったら前田さんならなんとかしてくれるよ、関西にはプロアスリートがあるよ』といわれるようになりたいんです。もっといろんな人に会いたいと思っています」。前田氏の目が輝いた。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)