ダルビッシュ有が響かせる深層の声 日米3000奪三振から引き出された無上の感性

パドレス・ダルビッシュ有【写真:木崎英夫】
パドレス・ダルビッシュ有【写真:木崎英夫】

ダルビッシュが語る「根性」というキーワード

 海を渡った野茂氏(3122個)とダルビッシュが続く前に、日本プロ野球で3000奪三振を記録したのは、金田正一氏(4490個)、米田哲也氏(3388個)、小山正明氏(3159個)、鈴木啓示氏(3061個)の4投手。彼らが躍動した昭和という時代の風潮とも密接に絡む「投手は走り込みが一番」という考えにも説き及ぶ。その中で、かつて日本の野球界に脈々と流れ、今も細りながら絶えない暗流とも言うべき「根性」がキーワードとして浮上した。

「根性というものがあるって信じれば、その人たちの中では根性というのがあるんでしょうけど。でも、それはそういう生活をしてきたから、それが必要だと。それがないと、自分の持っている精神性が獲得できないという風に信じ込んでいるから、そうなっているのではないでしょうか。一方で、アメリカの選手たちって、小さい頃からはっきり言って全然練習なんかしないし、走りもしない。14歳、15歳の自分の息子たちもそうなんですけどね。練習で走らなさ過ぎるから『家でスプリント(ダッシュ)くらいはちゃんとしておきなよ』って僕が言わないといけないくらい量が少ない。でも、今ここ(米国)でプレーをしている子どもたちが大きくなった時に日本人の選手よりもすごくなっているのを見てくると、やっぱり根性というのはどうなのかなっていう風には思ったりします」

 気温約38度の炎天下での調整を終え、思いの丈を一気に説き述べたダルビッシュに19日、初の週間MVP選出の吉報が届いた。ローテーションに変更がなければ、公式戦の残り登板はあと3試合。

 ダルビッシュ有は余人が知り得ない無上の感性――通論に惑わされず、世間の常識になびかず、正しいと信じたものを貫く姿勢――が宿る1球を重ねていく。

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(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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