9勝11敗→他球団なら13勝7敗？　中日投手陣が苦しんだ“孤立”…3失点でも負ける悲劇

9イニング当たりの援護点、リーグ連覇のヤクルトは「4.28」

　立浪和義監督が就任した中日は今季、6年ぶりの最下位に終わった。昨季に続き、苦しんだのが打力不足。チーム62本塁打と414得点は圧倒的に12球団ワースト。援護の少なさは、投手陣にとっても致命的に。広い本拠地・バンテリンドームの追い風はもはやなく、むしろ白星を消された現実も浮かぶ。

　ミスタードラゴンズ指揮のもと開幕直後は健闘していたが、早くも5月から失速。夏場以降も借金生活が続いた。最下位になるのは、当時の谷繁元信監督がシーズン途中で休養に追いやられた2016年以来。この10年でAクラスはわずか1度で、低迷期から抜け出せないでいる。

　近年、際立つのが貧打。攻守の両輪が揃ってこそチームは機能するだけに、打力のなさはそのまま投手にダメージとなって返ってくる。セイバーメトリクスの指標を用いてプロ野球のデータを分析などを行う株式会社DELTA（https://1point02.jp/）によると、中日投手が受けた援護率（9イニング当たりの援護点）は「2.93」で12球団ワースト（2日時点）に沈む。トップは、セ・リーグ連覇を果たしたヤクルトで「4.28」。11位の西武でも「3.28」あり、3点を切っているのは中日だけだ。

　選手別にみると、さらに同情したくなる数値が広がる。セ・リーグで最も援護を受けていないのは、今季自身初の10勝を挙げた小笠原慎之介で「2.70」。さらに大野雄大が「2.87」、柳裕也が「2.88」と3本柱が“孤立無援”状態だった。先発投手にとってクオリティスタート（6回以上を投げて自責点3以内）が最低限の役目とされているが、たとえ達成しても勝てない計算になる。

　中でも、目に見える結果に直結したのが柳。昨季に最優秀防御率と最多奪三振の2冠に輝いた右腕は、今季9勝11敗と苦戦。ただ黒星の中身をみると、7回以上を投げて3失点以下に抑えているのが4試合もある。決して勝負は単純ではないが、適切な援護があれば黒星と白星が裏返って13勝7敗になる。

　今季に頭角を現した2年目の高橋宏斗投手を含め、先発陣の頭数が揃っているのは確か。ただ、得点が入らないと勝てないのも事実。長い低迷からの脱却に向け、解消すべき課題は分かりきっているようにも見える。

（Full-Count編集部）