中日を戦力外となった「花火の人」 滝野要のプロ初安打が起こした“奇跡の光景”

今季限りで中日を戦力外となった滝野要さん【写真:荒川祐史】
今季限りで中日を戦力外となった滝野要さん【写真:荒川祐史】

2020年10月24日、神宮球場で起きた珍事…SNSでも大きな話題に

 プロ人生の第一歩を刻む初ヒットは、どんな選手にとっても忘れられない一打となる。そこにハプニングが加わったのなら、なおさら。今季限りで中日を戦力外となった元外野手の滝野要さんは、快音とともに驚きの光景を目撃した。上空を彩る大花火。ちょうど2年前を振り返り「僕にとっては感謝しかありません」と懐かしむ。

 2020年10月24日。夜の帳が下りると、神宮球場は秋の深まりを感じさせる肌寒さだった。ヤクルト戦の試合前、慌ただしく準備をする滝野さんはベンチ裏で張り紙を見つけた。「試合中に花火が上がって、その影響で試合が中断するかもということが書かれていたと思います」。初回から試合に出ているレギュラーならまだしも、この日もベンチスタート。あまり自分には関係ないと気に留めることもなかった。

 立場的にも、考える余裕すらなかったのは事実。その1週間前の10月17日の広島戦(マツダスタジアム)で、代走でプロデビューしたばかりだった。2018年のドラフト6位で大商大から入団し、ルーキーイヤーは2軍暮らしに終始。2年目を迎えてようやく掴んだ1軍舞台で、なんとか爪痕を残そうと必死だった。

2球で追い込まれた直後、視界の片隅に「ちょっとだけ見えたんです」

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