大谷翔平のMVP争い、成績だけではない「選考基準」　投票用紙に書かれている文言とは？

全米野球記者協会の公式サイトにある「投票用紙に実際に書いてある文言」

　エンゼルスの大谷翔平投手とヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手のMVP争いは大きな議論を呼んだ。投票自体はすでに終わっているが、記者は何を基準に選考しているのだろうか。全米野球記者協会（BBWAA）の公式サイトに掲載されている「投票用紙に実際に書いてある文言」を検証してみたい。

　全米野球記者協会（BBWAA）の公式サイトでは、投票に関するよくある質問として、「MVPの定義をめぐっては常に論争が起きている。投票用紙には何と書いてあるの？」という問いに回答。1931年の最初の投票用紙に書かれていた内容から変わっていないという「投票用紙に実際に書いてある文言」を掲載している。

　前文には「最も貴重（Most Valuable）という言葉の意味については、はっきりとした定義はありません。各リーグ、それぞれのチームで誰が最も貴重な選手（Most Valuable Player）だったかというのは、投票者各自の判断にゆだねられます。MVPは地区優勝チームやその他プレーオフに進出したチームの選手である必要はありません」とある。大谷の所属するエンゼルスはプレーオフ進出を逃したが、それを理由に選考基準から漏れることはないということだ。

　次に選考基準を、5つの箇条書きで記している。

（1）所属チームにおける選手の実質的な価値、つまり、攻撃と守備でどれだけチームの強みになったか
（2）出場試合数
（3）人間性全般、気質、（チームへの）忠誠心と努力
（4）過去の受賞者も対象
（5）（1位から10位まで選手の名前を記載する形だが）同じチームの選手を複数名選んでもよい

　この5つを大谷とジャッジに照らし合わせてみる。（1）は15勝＆34本塁打と二刀流で貢献している大谷にピッタリ当てはまる。一方で、貢献度を数字で表す「WAR」で見ると、ジャッジが10.6、大谷が9.6とジャッジが優勢だ。（2）は大谷、ジャッジともに157試合で優劣なし。（3）も大谷、ジャッジともにファン、選手、メディアから人間性を絶賛されている。（4）は昨年受賞している大谷も対象となる。一方で、ジャッジが受賞すれば初だ。（5）はエンゼルスのトラウトに投票しても、大谷にも投票できる。

　最後に「また、1位から10位まですべて真剣に選ぶようお願いします。あなたの10位票が投票結果に影響を与える可能性があります。1位から10位まですべての欄を埋める必要があります。考慮すべきは、レギュラーシーズン中のプレーのみです」とある。ジャッジはポストシーズンで打率.139、2本塁打、OPS.490に終わったが、これは減点にはならない。また、投票権を持つ記者には、責任と自覚を持って投票に臨むことが求められている。

（Full-Count編集部）