オリックスが“ドラ2”で高卒大砲を指名の訳 突出した「才能」と若手躍動の土壌

オリックス2位指名の日本航空石川・内藤鵬【写真:荒川祐史】オリックス2位指名の日本航空石川・内藤鵬【写真:荒川祐史】

今年のドラフト2位指名を受けた日本航空石川・内藤は高校通算53本塁打の長距離砲

 今年の日本シリーズではオリックスがヤクルトを4勝2敗1分で下し26年ぶりの日本一に輝いた。手に汗握る死闘の末に、昨年のリベンジを果たした。今年のドラフトではチームの課題だった待望の“大砲候補”を指名。常勝軍団の構築に向け着々と準備を進めている。

 身長180センチ、体重100キロ。恵まれた体格を生かし高校通算53本塁打を放ったのが、日本航空石川(石川)の内藤鵬内野手だ。高校3年間で甲子園に出場することはなかったが、1年秋から4番に抜擢されると豪快なアーチを量産し、早くからプロスカウトに注目されていた。

 今秋のドラフトでは2位指名を受け「早くこの時が来ないかなと待っていたので、ホッとしました。ドラフトのことで頭がいっぱいでした」と、安堵の表情を見せていた。オリックスにとっても正真正銘の大砲を獲得できたのは大きかった。

 今シーズンのチーム本塁打はリーグワーストの89本。主砲の吉田正尚が21本塁打をマークしたが、昨季の本塁打王(32本)の杉本裕太郎は15本塁打に終わった。毎年のように若手が台頭する投手陣に比べ、攻撃に目を向ければ長打力が課題だ。宗佑磨、中川圭太、紅林弘太郎、福田周平らの成長は著しいが、全員が巧打者タイプといえる。

目標とするのは西武・中村剛也のようなチームをけん引する選手だ【写真:荒川祐史】目標とするのは西武・中村剛也のようなチームをけん引する選手だ【写真:荒川祐史】

日本航空石川の中村監督が評価する「努力し続ける才能」

 内藤が目標とするのは長年「4番・三塁」としてチームをけん引し、通算454本塁打を誇る西武の中村剛也だ。柔らかいスイングから美しい放物線を描く天性のホームランアーチスト。内藤自身も「強く振っている感じがしないのが理想の打撃。中村選手のような打者を目指したい。プロ野球の本塁打記録を塗り替えたい」と、憧れを口にしている。

 規格外のパワーと広角に打ち分ける打撃技術を誇る内藤だが、恩師が最も評価しているのは「努力し続ける才能」だという。中学時代は愛知・東山クラブ(軟式)で全国に知れ渡る存在だったが、いの一番で声をかけたのが日本航空石川の中村隆監督だった。

 内藤の野球に対する姿勢について「1年生から木製バットを振り続けてきた。最上級生になっても最後までグラウンドに残って練習するのが内藤。誰からも慕われ、私の指導者人生のなかでも人間性を含め一番です」。厳しいプロの世界でも、自身を見失うことなく成長できることを確信している。

高卒野手では2010年のT-岡田以来となる本塁打王に期待

 オリックスは高卒選手でも“戦力”とみれば、早い段階から1軍で起用する傾向がある。近年でも紅林、来田涼斗、池田陵真らがプロ初安打を高卒1年目で達成。高卒2年目で遊撃のレギュラーを獲得した紅林、今年の日本シリーズでも代打で出場した来田と楽しみな逸材が多い。

 固定概念に捉われない中嶋聡監督は「調子の良い選手を使っていく」というスタンスを変えず、福良淳一GMも「最近の高校生は技術も高い。木製バットを苦にしない選手が多くなっている」と、ポテンシャルの高さを評価している。

 将来の大砲候補として期待される内藤も、来シーズンでの1軍デビューも十分にありえる。高卒野手では2010年のT-岡田(33本塁打)以来となる本塁打王。そして、日本を代表する長距離砲になるために――。オリックスの育成に注目が集まる。

○著者プロフィール
橋本健吾(はしもと・けんご)
1984年6月、兵庫県生まれ。報徳学園時代は「2番・左翼」として2002年選抜大会で優勝を経験。立命大では準硬式野球部に入り主将、4年時には日本代表に選出される。製薬会社を経て報知新聞社に入社しアマ野球、オリックス、阪神を担当。2018年からFull-Countに所属。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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